森博嗣さんの『ψ(プサイ)の悲劇』を読みました。
あらすじ
大学を定年退職したあと、自宅に作った実験室で日々研究を続ける八田洋久博士が、突然失踪して行方不明になってから1年、洋久の知人たちが八田家を訪れた。
その夜、八田家で飼われている猫のブランが、毒物を摂取して死亡した。
さらに翌朝、医師の吉野公子が洋久の実験室で撲殺されているのが見つかる。
感想
森ワールドが炸裂した作品になっています。
起承転結がつけられた作品になっているのですが、その”転”がぶっ飛んでいて…
森博嗣さんらしいのですが、私の頭の方がついていけませんでした。
表紙を開いたときから気になっていたことが解決するのは良いのですが、あれよあれよという間に置いていかれてしまった気分。
あまり言うとネタバレになってしまいそうなのですが、舞台として近未来を想定して書かれたのかなぁ?と思いました。
ちなみに、作品の中でマウスを「今どき流行らない」なんてこき下ろしていますが、森博嗣さんは近未来のポインティングデバイスとして、何を想像されているのかなぁと、ちょっと興味を引かれました。
私自身は、マウスから1度トラックボールに移行したあと、やっぱりマウスの方が良いやって戻ってきた人間なので、マウス以上のポインティングデバイスがあるなら言ってみろ!って気分なのですが…
ちなみに、UNIX系のOSを使っていた時の癖で、マウスの右ボタンを薬指で押す癖があるので、「手のひらにフィットする!」なんて謳われているマウスが、いまいち使いにくくて…って、私のことはどうでも良いですよね。
前作『χの悲劇』は、エラリー・クイーンの『Xの悲劇』をなぞらえた作品になっていましたが、この『ψの悲劇』は、『Yの悲劇』をなぞらえた作品になっています。
このあと、『ω(オメガ)の悲劇』が刊行される予定らしいですが、現段階ではまだのようです。
エラリー・クイーンの『Xの悲劇』にはじまるシリーズは、『Zの悲劇』までの三部作と思われている方もいるかと思いますが、そのあとに『レーン最後の事件』が用意されています(レーンは、このシリーズで活躍する元俳優の探偵の名前)。
『レーン最後の事件』まで読み終えると、大きな衝撃が。その解説を読むと、エラリー・クイーンの巧みなストーリー展開に舌を巻くはずです。
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