鮎川哲也さんの『リラ荘殺人事件』を読みました。
あらすじ
秩父の奥深く、リラ(ライラック)に囲まれた〈リラ荘〉を、東京の芸大生7人が訪れた。
しかし、翌日炭焼きの老人が崖から転落して死亡しているのが発見された。老人のそばには、学生の1人のレインコートとスペードのエースの札が落ちていた。
さらに翌日、学生の1人が毒殺され、リラ荘の郵便受けにはスペードの2の札が投げ込まれていた。
感想
鮎川哲也さんの作品ははじめてだったのですが、ページを開いた直後、気が遠く…
身長が尺で表されていたり、体重が貫で表されていたり。言い回しや言葉が古めかしくて、これは長い読書になりそうだなと思ったのですが、読んでいるとぐいぐいと惹きつけられて、あっという間といった感じでした。
ちなみに、最初の単行本は1958年に発刊されたようです。
私が生まれるよりはるか前。
なお、2015年に角川文庫から改版が出ているので、もう少し読みやすくなっているかも知れません。
事件の概要は、学生らが次々に殺害されていき、そのそばにスペードのカードがエースから順に置かれていくというもの。
アリバイトリックあり、ハウダニットあり、ホワイダニットあり…と、1冊で何度も楽しめる作品になっています。
また、探偵役を3重に用意していたのも、面白かったです。
登場回数の多い由木刑事がそのまま謎を解くのかと思いきや、鮎川哲也さんが生み出した名探偵・星影龍三まで、終盤に探偵役がコロコロと入れ替わるところが、新鮮な感じを受けました(60年以上前の作品なんだけどね)。
星影龍三の登場が唐突すぎるきらいはありましたが…
はじめはハードルが高そうだなぁと思ったのですが、読み終わる頃には、もう何冊か読んでみたいなという気に。
60年以上の時を経てもなお、名作と言われるだけのことはありました。
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