我孫子武丸さんの『殺戮にいたる病』を読みました。
あらすじ
ホテルに女性を連れ込み、絞殺した上で屍姦し、乳房を切り取って持ち去るという連続殺人事件が発生した。
三人目の被害者である島木敏子の妹・かおるは、元刑事の樋口の力を借りて、姉を殺害した犯人を捕まえようとするが、その矢先、4番目の被害者が出てしまう。
感想
はじめての我孫子武丸さんの作品です。
死体を切り刻む描写がグロテスク。
我孫子武丸さんは本当に死体を切り刻んだことがあるのではないかと思って、経歴を確認してしまいましたが、どうやら文学部の出身のようです。
それにしても、気持ちが悪くなるくらいリアル。
もっとも、私も実際に死体を切り刻んだことがないため、本当にリアルなのかどうかはわかりませんが…
物語は、いきなりエピローグからはじまるという変わり種。
犯人の蒲生稔と蒲生雅子、樋口の3人の視点で順に語られていく形がとられています。
クライマックスに向けてどんどん盛り上がっていくのですが、最後に一捻り。
この一捻りは必要だったのかなぁ?と思ってしまいました。
ただ、読者を困惑させるだけなのではないかと…
文学作品としては、この一捻りが効いているのかも知れませんが、娯楽小説としてはどうなのだろうと。
でも、この一捻りがあったからこそ、高い評価を受けているのかも知れないなぁとも思いました。
逮捕後、蒲生稔には精神鑑定で「責任能力あり」との判断が下されたようですが、どう考えても精神異常者。
責任能力があると言われるか否かは紙一重の人間だったんじゃないかなと思いました。
最後の一捻りが必要だったかどうかについては、悩ましいところですが、十二分に楽しむことができる作品でした。
コメント