【読書】大倉崇裕『福家警部補の再訪』

大倉崇裕 福家警部補シリーズ ├ 大倉崇裕

大倉崇裕さんの『福家警部補の再訪』を読みました。

あらすじ 

『マックス号事件』
室蘭-博多間を結ぶフェリー〈マックス〉が、旅行会社の特別企画で鹿角諸島を周遊する航海に出た。
このフェリーの中で、警備会社の社長・原田明博は、かつての悪友・川上直巳を殺害し、直巳についてまわっている借金取りの岡山に捜査の目が向けられるように工作する。
しかし、〈マックス〉には、出航前に別の事件の捜査で乗船し、下船し遅れた福家警部補が乗っていた。

感想

「福家警部補シリーズ」の第2弾です。
『福家警部補の挨拶』同様、先に犯行の様子が描かれ、それを福家がどう解いていくかを楽しむ倒叙形式の短編集になっています。

詰め将棋のように、じわりじわりと犯人を追い詰めていくというよりは、早い段階で犯人を絞り込むんだけど、決定打がなくてもどかしい思いをするといった感じ。
最後に怒濤の追い上げを見せるのですが、個人的には、真綿で首を締めるように、犯人がもがき苦しむ姿を見たいなぁなんて…

『刑事コロンボ』をリスペクトして書かれた作品のようですが、『刑事コロンボ』の内容を知らない私には、そのあたりの面白さを味わえなくて、少し残念です。

短編でリズム良く、というよりは、1つの作品を読み終えるたびに、ほっと一息つく感じと言えば良いでしょうか。
妙に癖になる作品になっています。


このほか、『失われた灯』、『相棒』、『プロジェクトブルー』が収められています。

『失われた灯』
脚本家の藤堂昌也は、近々あるオーディションで便宜を図ると言って、俳優志望の三室勘司を別荘に誘い出し、食事に薬を混ぜて昏倒させる。
その間、藤堂は自らが誘拐されたように見せかけながら、恐喝者である辻伸彦を殺害に向かう。

『相棒』
漫才師山の手のぼり・くだりのボケ担当・立石浩二は、人気に陰りが出てきたコンビを解消して、ピンで活動したいと考えていた。
しかし、相方の内海珠雄は半年先の師匠の命日まではコンビを解消したくないと言い張る。
それを待ちきれない立石は、ネタ合わせなどに使用していた別荘で、内海を殺害してしまう。

『プロジェクトブルー』
玩具メーカー〈スワン・インプ〉の新井信宏社長は、15年前に偽造した怪獣ソフビ人形〈ミリバール〉をネタに恐喝を働いてきた、造型家の西村浩を事故に見せかけて殺害する。
その間、深夜に上がってきたTV番組ブルーマンのイラストからフィギュアを造形していたことをアリバイとして主張するが…

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