歌野晶午さんの『葉桜の季節に君を想うということ』を読みました。
〈何でも屋〉ならぬ〈何でもやってやろう屋〉を自称する成瀬将虎は、地下鉄の駅で飛び込み自殺を図った女性・麻宮さくらを救う。
また、同じフィットネスクラブに通う久高愛子から、おじいさん・隆一郎の事故について相談を受ける。
隆一郎は健康食品や羽布団などを売りつける悪徳会社・蓬莱倶楽部に散々金を巻き上げられた上、保険金をかけられて、轢き殺されたと言うのだ。
成瀬は蓬莱倶楽部に潜入して証拠を掴もうとするが…
うーん、何と言えば良いのでしょうか?・・・アンフェア??
と言ってしまうと元も子もないのですが、巧みに騙されてしまいました。
確かに嘘はつかれていない。でも、肝心な情報を与えられていないぞって感じ。
文庫版のあらすじに「必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本」と書かれていますが、そういう意味だったのねって…
そして、タイトルにある「葉桜の季節」というのは、そういうことだったんだと…
私に言わせれば、「誰がもう1度読むかー!」って感じですけど(騙されたのが悔しいので…)、再確認してみたくなる気持ちはよくわかります。
きっと、再読しても齟齬はないんだろうな。
これだけ大きな”秘密”を抱えたまま最終盤まで持っていく筆力には脱帽。
物語の構成も、読み終わってみるとそういうことだったのねと、思わず唸ってしまうほど巧み。
今は、歌野晶午さんの作品をもう1冊読んでみたいような、怖いようなという気分です。
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