小路幸也さんの『夏服を着た恋人たち マイ・ディア・ポリスマン』を読みました。
あらすじ
高校を卒業し、漫画家としてデビューした楢島あおいは、駅前の公園でオレオレ詐欺の現金の受け渡し現場らしきものを目撃する。
紙袋を受け取った若い男の胸ポケットから、薄い紙片を掏りとったが、そこには「GT5901」と書かれていた。
一方、あおいの父・明彦は帰宅途中に、行方不明になっている友人・脇田広巳の姿を見つける。
感想
「マイ・ディア・ポリスマン」の3作目です。
ほんわかとした雰囲気が好きなこのシリーズですが、今回はちょっとスパイスの効いた内容になっています。
オレオレ詐欺に、外国人労働者の問題。さらに、背後には大きなものが控えている様子。
そんなスパイスの効いた作品にも関わらず、やっぱりほんわかとした雰囲気を醸し出しているのは、小路幸也さんの文章のおかげでしょうか。
それにしても、外国人労働者の問題は、いまだに疑問が拭えないんですよね。
以前勤めていた会社でも、外国人の技能実習生を受け入れていましたが、工場のラインで働かせて、何を学ばせているのかな?って。
農業や漁業、工場でももう少し技術や経験を要する場所であれば、なるほどなと思えるのですが…
タイトルに「夏服を着た恋人たち」とつけられていますが、いまいちピンとこないなと思いながら読んでいました。
しかし、最後の最後になって、そういうことなのかと納得。
今回は、宇田巡巡査と楢島あおいの「恋人たち」といったシーンがほとんど見られませんでしたが、相変わらず良い関係を続けているようで、ほほえましく思いました。
令和元年にこの作品が刊行されて以来、このシリーズの続編は出ていないようなのですが、話としてはまだまだ続きがありそう。
次回作に期待です。
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