大倉崇裕さんの『殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官』を読みました。
あらすじ
太平洋から日本を目指して進行中の怪獣・ラウゼンゲルンが探知された。
怪獣対策を行う専門機関・怪獣庁で第一予報官として働く岩戸正美は、太平洋上の父島でラウゼンゲルンを殲滅させようとするが、平田統制官から本土での殲滅を指示される。
人工音に敏感なラウゼンゲルンの特徴を活かし、紀伊半島の潮岬防衛基地に誘導するが、ラウゼンゲルンが射程に入る直前、1発の銃声が鳴り響く。
ラウゼンゲルンは無事殲滅することができたが、海上で銃殺された男性の遺体が発見される。
感想
ゴジラ、モスラ、バルタン星人、カネゴン…確かに日本は怪獣によって大きな被害を被ってきた歴史があります。
そんなところに着目したのがこの作品。
ちなみに、作中で日本が初めて怪獣の被害を受けたのが1954年とされていますが、これは『ゴジラ』の第1作が公開された年になっています。
すべて架空のお話ですが、怪獣の侵攻によって甚大な被害が懸念される原子力発電所は全廃。
風力、太陽、水力、地熱といった自然エネルギーへの転換が推し進められています。
現実の日本において、1番の”怪獣”である”地震”への備えとして、真似ができないものかねぇと思ってしまいました。
まだまだ課題の多い自然エネルギーの活用ですが、本気になって取り組めば、課題の抽出と対策が進められると思うんですけど。
怪獣に端を発する話ですが、結局のところは人間の汚い部分が浮き彫りになってくるような話になっています。
それに比べれば、侵攻してくる怪獣の方がピュアに見えてしまったり。
そのあたりのバランスがうまくとれているなぁと感じました。
表題作のほか、『風車は止まらなかった』、『工神湖殺人事件』が収められています。
『風車は止まらなかった』
太平洋に現れたグランギラスが、静岡県に向かって進行中。
第一予報官の岩戸正美は、1971年に瀬戸内海に現れたグランギラスが、鯉のぼりに反応したと推定。
静岡県沿岸の風力発電の風車をすべて止めるように要請する。
しかし、一部の風車は止められず、1000人規模の町が破壊され、死者を1名出してしまった。
『工神湖殺人事件』
青森県にある工神湖周辺で、怪獣関連の通報が相次いでいたが、索敵班による調査では何も発見できなかった。
その索敵班の捜査官・長草春男が独断で現地調査に入ったが、消息を絶ってしまう。
また、近年工神湖周辺では不法投棄が問題になっていたが、不法投棄を行っている組織の人間もまた、相次いで消息を絶っていた。
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