【読書】米澤穂信『遠まわりする雛』

米澤穂信 古典部シリーズ └ 米澤穂信

米澤穂信さんの『遠まわりする雛』を読みました。

あらすじ 

折木奉太郎は、同じ古典部の千反田えるから、生き雛祭りの傘持ちをしてくれないかと依頼される。
千反田の地元に伝わる祭で、雛と内裏に扮した少女が町を練り歩き、人の汚れを引き受けるのだそうだ。
その雛に千反田が扮するのだが、雛に傘をかける役の男性が怪我をしてしまったのだという。

感想

米澤穂信さんの「古典部シリーズ」は、『氷菓』『愚者のエンドロール』に続き3冊目。
なのですが、読みはじめて間もなく違和感が…
『氷菓』で奉太郎たちが古典部に入部し、『愚者のエンドロール』では秋の文化祭の準備をしていたはずなのに、また1年生の春に戻っている。

出版年を確認してみると、『氷菓』が2001年、『愚者のエンドロール』が2002年、この『遠まわりする雛』が2007年なので、この3冊に限って言えば、読む順番は間違っていなさそう。
『遠まわりする雛』についてもう少し調べてみると、奉太郎たちの高校1年生のエピソードが1順したところで、これまで抜け落ちていたエピソードを短編集という形で纏めたんだそうです。

上で、「この3冊に限って言えば」といった理由は、『愚者のエンドロール』と『遠まわりする雛』の間に、『クドリャフカの順番』が出版されているので、こちらを先に読むべきだったようです。

このシリーズらしい、ぬるーい感じの雰囲気が私のお気に入り。
ただ、スイッチが入ったときの奉太郎の推理力にはキレがありますし、推理に夢中になって人への気遣いができなくなるということもない。
なかなか大人な作品になっているんじゃないかなって思います。


表題作のほか、『やるべきことなら手短に』、『大罪を犯す』、『正体見たり』、『心あたりのある者は』、『あきましておめでとう』、『手作りチョコレート事件』が収められています。

『やるべきことなら手短に』
校内の掲示板に新入部員募集のポスターが溢れる春、当人たち以外実態を知らない〈女郎蜘蛛の会〉の勧誘ポスターが、無許可なまま掲示板にひっそりと貼り出されるという。
奉太郎らは、〈女郎蜘蛛の会〉の勧誘ポスターがどこに貼り出されているか推理する。

『大罪を犯す』
古典部の部長・千反田が、授業中、数学の教師に対して怒った!
小さな勘違いが原因だったのだが、千反田が怒るようなことになぜ発展したのか?

『正体見たり』
夏休み、古典部の4人は伊原摩耶花の親戚が営む温泉宿へ合宿に。
しかし、この宿に伝わる怪談話を聞かされたその夜、摩耶花と千反田えるが首を吊った女性を見かけたという。

『心あたりのある者は』
『10/31、駅前の巧文堂で買い物をした心あたりのある者は、至急、職員室の柴崎のところまで来なさい』
放課後に校内に響き渡ったこの放送が、どういう意味でおこなわれたのかを当てるゲームを、奉太郎と千反田が繰り広げる。

『あきましておめでとう』
初詣に出かけた奉太郎と千反田。
手伝いを申し出たまでは良かったのだが、神社の納屋に閉じ込められてしまった!

『手作りチョコレート事件』
バレンタインデー、伊原が思いを寄せる里志にチョコレートを用意したが、用事で直接手渡せないため、部室に置いたチョコレートを受け取って欲しいとお願いする。
しかし、伊原が部室に置いたチョコレートが盗まれてしまった。

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