宮部みゆきさんの『名もなき毒』を読みました。
あらすじ
関東地方では、店舗で購入した飲み物に混入された青酸カリにより、4件の死亡事件が発生していた。
一方、今多コンツェルンのグループ広報室では、有力な戦力だったシーナちゃんがアルバイトを辞め、代わりに原田いずみが勤務していたが、いずみはたちの悪いトラブルメーカーだった。
広報室に勤める杉村三郎は、いずみの件を丸く収めるとともに、ひょんなことから知り合った青酸カリ混入事件の3番目の被害者の孫・古屋美知香とともに、犯人捜しをはじめる。
感想
『誰か』に続く、「杉村三郎シリーズ」の2作目です。
前作で大活躍したシーナちゃんは学業のためにアルバイトを辞めてしまい、新しく入ったアルバイトが編集室に新たな風を吹き込む…
この編集室は人に恵まれているのか、恵まれていないのか、よくわからないところだなぁと思いながら読んでいました。
また、杉村家は戸建て住宅に引っ越しをする様子。
こちらも、人生における大きな転機となりそうですが、父親が今多コンツェルンの総帥という妻の菜穂子にとっては、少し大きな買い物くらいの感覚だったかも…
今回、犯罪で使われた「毒」は青酸カリでしたが、それ以外にも「毒」といえるものが登場してきます。
それが、タイトルが示す「名もなき毒」だったんだなとわかったとき、思わず目を閉じて思案してしまいました。
最終的に、何も得るものがないようなストーリーなのですが、そこに一筋の希望の光を当ててくれる宮部みゆきさんの作風が好きかなぁなんて思っています。
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