宮部みゆきさんの『誰か』を読みました。
今多コンツェルンのグループ広報室に勤務する杉村三郎は、事故死した梶田信夫の遺族から相談を受ける。
梶田は杉村の義父であり、今多コンツェルンの会長・今多嘉親の私設運転手を勤めていたが、自転車に撥ねられて死亡していた。
父親を轢き逃げした犯人を突き止めたいという思いから、2人の娘は梶田の私記を出版したいと、嘉親を通じて杉村に相談が持ちかけられたが、やる気満々の次女・梨子に対し、長女の聡美は父親の私記出版を躊躇していた。
轢き逃げされた男性。
その犯人を突き止めたいという思いが、別の秘密の扉を開けてしまう…
これが宮部みゆきさんらしさなのかなぁと、最近ようやくわかるようになってきました。
読み終わってから思い返してみると、非常にと言っても良いくらい登場人物が少ないんですよね。
それでいて、これだけ話を膨らますことができるのですから驚きです。
深く、広く拡がっていく木の根のように、どこまで拡がるのかわからないドキドキ感や、新たに明らかになる事実に感嘆したりと、楽しい時間を過ごすことができました。
内容も、居た堪れない話ではないので、気が重くなることもなかったかな。
私にとって、宮部みゆきさんの作品はこれが7冊目になるのですが、この作品が1番読みやすかったかなぁと感じました。
長さも適度だし、話の流れもスムースで。
この杉村三郎を主人公にした作品はシリーズ化されているそうなので、次作もぜひ読んでみたいと思いました。
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