アガサ・クリスティーの戯曲『招かれざる客』を、チャールズ・オズボーンが小説化!
霧に包まれた邸宅を、車を脱輪させて立ち往生した男性が訪ねたところ、車椅子の男性が頭を打ち抜かれて死亡していた。
同じ部屋には、男の妻が拳銃を持って立っていたが…
アガサ・クリスティーの『招かれざる客〔小説版〕』を読みました。
あらすじ
霧の中、脱輪をして車が立ち往生してしまったマイケル・スタークウェッダーは、電話を借りるために近所の館を訪ねる。
しかし、そこでマイケルが見たのは、車椅子に乗り、頭を撃ち抜かれたこの館の主・リチャード・ウォリックと、拳銃を持つ妻のローラだった。
ローラは、自分が夫を殺したと言うが、不憫に思ったマイケルは偽装工作をはじめる…
感想
発売された時から読みたいなと思っていた作品だったのですが、ようやく読むことができました。
結論から言うと面白い!
その裏には3人の存在があります。
1人は言うまでもなく、戯曲を書いたアガサ・クリスティー。
2人目はクリスティーの世界観を崩すことなく小説化したチャールズ・オズボーン。
そして最後は翻訳者の羽田志津子さん。
特に羽田志津子さんの訳は、現代の口語体を用いながら、約70年前のイギリスの風景を脳裏に描き出させるという、絶妙なものになっています。
また、いくら広い館とはいえ、近くの部屋にいる人に聞こえてしまうだろうと思うような会話の場面も、戯曲ならでは。
そういった部分も上手く小説化されているところに舌を巻きました。
半分過ぎまで読んだところでは、お手本のような「起承転結」の展開になっているなと思ったのですが、そのあと話が二転三転。結局は「起承転転転転」のどんでん返しものになっていました。
同じくクリスティー文庫から刊行されている『招かれざる客』と読み比べるのも面白いかも知れませんね。
機会がありましたらぜひ。
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