今村昌弘さんの『兇人邸の殺人』を読みました。
あらすじ
大学のミステリ愛好会に所属する葉村譲と剣崎比留子は、”廃墟テーマパーク”の中に建つ〈兇人邸〉へ潜入する。
しかし、その兇人邸には殺人鬼が住んでいたうえ、葉村たちは邸内に閉じ込められてしまう。
そして1夜が明けると、邸内には首のない死体が残され、比留子の姿は消えていた。
感想
前作『魔眼の匣の殺人』では、『屍人荘の殺人』で見せたキレが見られなかったなぁと、残念な思いをしましたが、この『兇人邸の殺人』では、そのキレが戻ってきたような気がします。
『屍人荘の殺人』があまりにもショッキングだったため、ここ数年で私が読んだベストミステリになっているのですが、この『兇人邸の殺人』もそれに負けないくらいの面白さだと思います。
今回も事件の舞台はクローズド・サークル。
ただ、剣崎比留子の言葉を借りると、今回はこれまでの2作品と違い、「私たちが留まることを選ばざるを得ないクローズド・サークル」なんだとか。
言われてみると、なるほどなぁと思うのですが、その約束事を破るときがくるのかどうかが気になってしまいます。
さらに、今回もこれまでの2作品同様、班目機関が絡んでいるのですが、この班目機関、科学技術力は高いのに、その使いどころや倫理観が間違っているよなぁと思ってしまいます。
高学歴の科学者を集めて毒ガスを作った、某宗教団体と影が重なってしまいます。
そして、今回の1番の特徴は、比留子の立ち位置。
言われるまで気づかなかったのですが、言われてみるとこれまでと大きく違った立ち位置で推理を展開しているなぁと。
それを「楽」と言ってしまう比留子もすごいと思いますが…
『屍人荘の殺人』にハマった方は、この作品も読んで損はないんじゃないかなぁって思います♪
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