大倉崇裕さんの『ペンギンを愛した容疑者』を読みました。
都内の住宅地にたたずむ屋敷で、主人の藤原慶二郎が死亡しているのが発見された。
慶二郎が死んでいたのは、ペンギンの飼育室の中。
4羽のケープペンギンが飼育されていたが、慶二郎はその世話中に足を滑らせ、頭を強打したものと考えられた。
一方、取り調べなどによってペットの世話をする人がいなくなった動植物を管理するために設けられた警視庁総務部総務課動植物管理係の須藤友三と薄(うすき)圭子は、現場を訪れるが、慶二郎の死因に疑問を抱く。
私にとって、はじめての大倉崇裕さんの作品です。
この前に、『小鳥を愛した容疑者』、『蜂に魅かれた容疑者』が刊行されているようなのですが、このタイトルに惹かれてしまったので、3冊目から。
ただ、途中で何度も「〇〇の事件」と、前の2冊で取り上げられた事件を指し示す部分があるので、順番どおりに読むのがセオリーかも知れません。
ジャンルとしてはユーモアミステリー。
特に、薄圭子の天然っぷりが笑いを誘います。
須藤主導で捜査が進むのですが、最後の仕上げは薄というところがお約束でしょうか。
動物に関する豆知識も豊富で、この人は動物が好きなんだなぁというのが伝わってきます。
肩の力を抜いて読むことができる1冊だと思います。
ちなみに、警視庁総務部総務課動植物管理係というのは、架空の部署なんだそうです。
表題作のほか、『ヤギを愛した容疑者』、『サルを愛した容疑者』、『最も賢い鳥』が収められています。
『ヤギを愛した容疑者』
小学校の教頭・三好輝也が殺害された。
近くで頭から血を流して倒れていた容疑者の津浜寿弘は、ヤギを2頭飼っていて、課外授業の一環として小学校にも連れて行っていた人物だった。
『サルを愛した容疑者』
マンションの1室で車島名子が殺害された。
部屋の持ち主で警察の調べを受けている五反田徹也は、部屋でリスザルを飼っていた。
死体発見時、リスザルはケージの中にいたが、須藤らが到着したときには、ケージの外に逃げ出していた。
『最も賢い鳥』
賃貸マンションの1室で、住人の梶田実が撲殺された。
梶田は4歳児程度の知能を持つといわれるヨウムを飼っていた。
コメント