宮部みゆきさんの『今夜は眠れない』を読みました。
緒方雅男の母・聡子は、10代の頃に命を助けた澤村直晃から5億円を遺贈された。
このことが世間に知られると、マスメディアに追い回され、知り合いからは意地悪をされ、家にはわけのわからない電話や手紙が届くようになった。
おまけに、父の行雄は恋人と家を出てしまう。
自宅で生活するのを諦めてウィークリーマンションに移り住んだ雅男と聡子は、弁護士の前川から別荘での休暇に誘われる。
ジャンルわけすると、「どんでん返しモノ」になるのでしょうが、そのどんでん返しがあまりにも突然やって来たので、頭の方がついていけませんでした。
後から振り返ってみると、いくつも伏線が用意されていたのですが、それにぜんぜん気づかず(伏線とはそういうものなのでしょうが…)、急に5億円が手に入って起きた悪いことが述べられて、最後に5億円の使い道に繋がる、社会派ミステリなのかなと思いながら読んでいました…
現在では、セキュリティだとか個人情報保護の観点から、大金を手にしてもわかりにくい社会制度になっていますが、当時は「長者番付」と題して納税額のランキングが毎年発表されていたような時代。
悪いことをしたわけではないのに、世間に追い回されるという時代だったんだよなぁと思いながら読んでいました。
そんなふうだったので、終盤のどんでん返しには完全に意表を突かれました。
ページ数も多くありませんので、宮部みゆきさんの作品を読んだことがないという方にもオススメできる1冊だと思います。
過去の「宮部みゆき」記事
コメント