映画研究部の夏合宿の舞台となったペンションは、とある理由によりクローズドサークルと化す。
さらに、外部から侵入できないはずのペンションの中で殺人事件が発生する。
デビュー作ながら数々のミステリランキングで1位を獲得し、映画化もされた作品。
今村昌弘さんの『屍人荘の殺人』を読みました。
あらすじ
大学のミステリ愛好会に所属する葉村譲と明智恭介の2人と、すでに名探偵として名高い剣崎比留子は、映画研究部の夏合宿に飛び入り参加する。
合宿の会場は、映画研究部OBの七宮兼光の父がオーナーを務める紫湛荘だったが、到着した夜に不測の事態に陥り、紫湛荘に立てこもることになってしまう。
しかし、外部から侵入できないはずの紫湛荘内で、殺人事件が発生する。
感想
ヤバい…
面白いです!
正直、読む前は大きな期待をしていなかったのですが、完全に虜にされました。
ジャンル的には、クローズド・サークルもの。つまり、”ある閉ざされた雪の山荘で”のパターンなのですが、紫湛荘があるのは湖の近くといっても、地続きの場所。
その紫湛荘をどうやってクローズド・サークルにするのかと思いきや、奇想天外な方法が用いられています。
こんな方法があったとは!
まさに目から鱗が落ちる思いでした。
その後も、その奇想天外な事態が適度に物語に緊張感を与えてくれるのですが、閉じ込められているわりには、やけに冷静な部分もあったりして、そのギャップがまた面白かったり。
はじめは、あまり好きでない方向に物語が進んでいくのかなぁと思い、「この先、長い読書になりそうだ」と、ため息をついたのですが、物語の方向性が見えてきたあたりから、俄然面白くなり、最後は寝る間も惜しんで読みふけてしまいました。
名だたるミステリ賞を総なめにした実力は本物。
これからの季節にぴったりの作品だと思いますので、まだ読んでいない方は、是非書店へ走ることをオススメします。
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