「残念ながら今年度の採用枠は「1つ」にすべきという判断が下りました」
IT企業スピアリンクスの最終選考に残った6人の学生たちの間に激震が走る。
飛ぶ鳥を落とす勢いのSNS『スピラ』を運営するスピラリンクスが、新卒総合職の採用を開始。若干名の採用枠に5千人以上の応募が殺到。
その中から最終選考に残った6人によるグループディスカッションの内容いかんでは、全員に内定を出すという説明を受け、準備を進めている最中の一報だった。
浅倉秋成さんの『六人の嘘つきな大学生』を読みました。
あらすじ
新興企業のスピラリンクスは、SNS『スピラ』で急進中の企業だった。
若干名という新卒総合職初年度の採用枠に、5千人以上の応募が殺到し、波多野祥吾ら6人が最終選考に残った。
最終選考は1ヶ月後に行われるグループディスカッション。その出来次第では6人全員に内定を出すこともあるという。
当日に向けて準備を進める6人だったが、直前になって震災を理由に採用枠を1つにするという連絡を受ける。
しかも、グループディスカッションの中で、誰が内定者に相応しいかを議論しろというのだ。
そして、最終選考当日、各人の過去の悪事を暴く怪文書が出てくる。
感想
お初の作家さんです。
映画化されたことなどもあって、話題になっていたので手に取ってみました。
大きく2つに分かれていて、スピラリンクスの最終選考であるグループディスカッションまでを記した「就職試験」と、8年後を記した「それから」。
「就職試験」と、その最終選考のグループディスカッションで出回った怪文書を仕込んだ犯人を突き止めるところまでで終わっていたら、「面白かったね」で終わっていたと思うのですが、「それから」に記されている、8年後に改めて”事件”を振り返るパートがよくできています。
巧みに仕掛けられた伏線の回収はもちろん、心理トリックというのでしょうか、最終選考に残った6人を心理的に操っていたところが上手かったですね。
最終選考に残った6人の中に、スピアの社員が混じっているんじゃないだろうかとか、採用枠を1つにすると言いながら、最大6人の可能性は残っているんじゃないだろうかなど、新興企業の採用活動ということで、いろいろ勘ぐりながら読むことになりました。
機会がありましたら、ぜひ。
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