東川篤哉さんの『学ばない探偵たちの学園』を読みました。
鯉ヶ窪学園に転入してきた赤坂通は、数あるクラブの中から文芸部を選び、部室を訪ねた。
しかしそこで待っていたのは、探偵部の部長・多摩川流司と八橋京介の2人だった。
なぜか学園非公認サークル「探偵部」に入部することになってしまった通は、夜中の学園内で密室殺人事件に遭遇してしまう。
殺害されたのは、学園の芸能クラスのアイドルを盗撮しにきたと思われるフリーカメラマン・田所健二。
さらにその翌日、音楽教師の小松崎律子が密室になった自宅で、カミソリで手首を切って死んでいるのが見つかった。
しかも、部屋の中からは田所のカメラが見つかった。
物語は赤坂通の一人称一視点で語られていますが、本格推理小説を読み込んだ多摩川流司と八橋京介の副音声付きと表現すれば良いでしょうか。
はじめの殺人事件についても、2人が密室殺人の犯人は、密室の扉を最初に開いた人物か、被害者に最初に駆け寄った人物か、現場が密室であることを最初に主張した人物であるという議論を交わした直後に発生。
どのパターンにも当てはまらない犯人が用意されているんだろうな、とは思いつつ、東川さんが自分で自分の首を絞めていないか心配になったり…
トリックについても、既存のトリックを当てはめながら解説が行われていくのですが、2人の「副音声」のおかげで、ミステリに詳しくない私のような人間でも難なく読めてしまう作りになっています。
読み味は軽いのに、しっかりとしたトリックが使われていたりと、東川ワールドを堪能することができます。
過去の「東川篤哉」記事
過去の「鯉ヶ窪学園シリーズ」記事
コメント