赤川次郎『鏡よ、鏡』

赤川次郎さんの『鏡よ、鏡』を読みました。

小田沙也はスタイリストを目指す専門学校生。
ある日、中学時代の友人・三原涼子が殺害されてしまう。
涼子はアイドルを目指していて、スカウトに声をかけられるのを待ちながら、交差点を行ったり来たりするのを沙也も目撃していた。
暴力団もが絡むこの事件に、沙也も巻き込まれてしまう。

時を同じくして、沙也は今をときめくアイドル・エリカの代役というバイトを依頼される。
エリカからの信頼を得た沙也だが、エリカに「マネージャーの立川の好みだから気をつけて」と言われたことで、立川のことを男性として意識するようになる。

――自分は何がやりたいのか。
若いころは、それが分からずに不安になる。また、したいことがあっても、周囲の状況がそれを許さないこともある。
本当に自分がしたいことを職業にできる人がどんなに少ないか。――それを知って将来に希望が持てなくなる。
そんな若い人々に、一人の若い娘の物語をプレゼントしたい。周囲の出来事に流されながら、自分を見失わない彼女と一緒に、しばしの冒険を楽しんでいただきたい。――

新書版のそでに書かれた「著者のことば」です。
このことばを読むと、沙也がとても強い女性として描かれているのかと思うのですが、実際には等身大の十八歳。

特に、エリカのマネージャー・立川との恋については、自分を見失ってしまったのではないかと、ちょっと違和感を感じました。
でも、それは自分を見失ったわけではなく、自分の気持ちを大事にした結果だったんですね。
それに気づいたとき、この作品がちょっと違ったものに感じられました。

次から次へと難題が襲ってきて、自分ではどうしようもできないような大きな力に巻き込まれてしまう…
赤川次郎さんの作品によくあるパターンですが、沙也は沙也なりの方法で対処していきます。
ただ流されるわけでもなく、ただ流れに立ち向かうでもなく、うまくいなしながら流れの中に自分の居場所を作っていく。
自分が思い描いていた場所ではないかも知れないけど、社会の中に自分の居場所を見つけ出した沙也に学ぶことは、少なくないのかなぁと思いました。

 

 

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