人が溺れていく様を見よ――。
平凡な主婦だった梅澤梨花は、銀行でパートタイマーとして働きはじめた。
フルタイマーに昇格すると、買い物の楽しさを知ることに。
さらに、恋人を作り、恋人の借金を返済するために偽造した定期預金証書を使って横領をはじめる。
角田光代さんの『紙の月』を読みました。
あらすじ
平凡な主婦・梅澤梨花は、銀行でパートとして働きはじめた。
働きぶりが評価され、フルタイマーに昇格した梨花は、デパートでの化粧品の購入をきっかけに、買い物の楽しさを知るようになる。
さらに、お得意先の孫・平林光太と知り合い、恋人関係になる。
光太が消費者金融から借りた金を返済するため、証書類をしっかり確かめない顧客を相手に、偽造した定期預金証書を使って横領を行う。
やがて、この手口での横領を繰り返すようになった梨花が横領した金額は、1億円に達する。
感想
よくお邪魔しているブロガーさんが紹介されているのを見て手に取ってみたのですが、正直良さがわからず…
横領に手をつけた銀行員が、ずぶずぶと沼にはまっていくだけの話じゃないと思ったのですが、終わり近くになって、これはそれだけの話ではないんじゃないかな？って思うようになってきました。
それだけの話であれば、梨花の話だけでよく、梨花の周囲の人の目線で語られる文章はいらないはず。
たとえば、料理教室で梨花と友達になった中條亜紀には子供ができましたが、梨花には子供ができない。
じゃあ、子供がいる方が幸せなのかといえば、一概には何とも言えない。
湯水のようにお金を使った梨花に対し、節約志向の亜紀の方が不幸かといえば、これも何とも言えなかったり…
そのあたりの絶妙な塩梅が見事だなぁと思いました。
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