内田康夫さんの『上海迷宮』を読みました。
日本で法廷通訳として活躍する中国人女性・曾亦依の友人・賀暁芳が新宿のマンションで殺害された。さらに、上海に住む父親・曾維健が殺人容疑で公安局に捕らえられたという。亦依は、父親の友人である林道義教授から浅見を紹介される。浅見は飛行機が苦手なことを理由に拒むが、大阪から出るフェリーがあることを知り、依頼を引き受ける。
浅見は中国語ができないので、実際の捜査は通訳を介して行われるため、まどろっこしいものになったと思われますが、小説の上では息もつかせぬスピーディーな展開となっています。
ただし、一箇所だけ意図的に展開を遅らせたところがあり、良い効果を生んでいます。
中国・上海という海外に舞台を移しての作品でしたが、異国情緒溢れる作品になっていたように感じました。
ただ、観光地巡りの旅をするのではなく、事件の捜査を通じて、上海の、さらには中国の光と影を作品に取り入れることに成功しているように思いました。
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