内田康夫さんの『薔薇の殺人』を読みました。
あらすじ
自宅の留守番をしていた浅見のもとに、親戚の大学生・緒方聡がやって来た。密かに恋いこがれていた女子高生・浜岡文絵の誘拐事件の犯人として疑われているのだという。結局文絵は殺害されているのが見つかるが、文絵は元宝塚女優・鳥越美春と俳優・三神洋の娘だった。浅見は緒方の無実を証明し、事件の捜査に取りかかるが、脅迫状に使われていた「娘」の活字から宝塚歌劇団に行き着いた浅見は、宝塚へと向かう。
感想
この作品は「浅見光彦シリーズ」では極めて珍しく、ヒロインが存在しない作品になっています。
宝塚歌劇団を題材にした作品だけに、ヒロインは不要だったのでしょうか。
華やかな宝塚歌劇団の舞台と相反して、悲しいフィナーレが用意されています。
自らへの愛情を信じられなくなった人と、自らの愛を信じてもらえなくなった人……
それらが織りなす悲劇の大きさに絶句してしまいました。
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