和久井清水さんの『孤道 完結編 金色の眠り』を読みました。
鈴木義弘の葬儀に顔を見せなかった松江が、義弘の会社八紘昭建で遺体となって見つかった。
浅見は、義弘の事件と松江の事件を解く鍵が、義弘の祖父・義麿が書き残したノートにあるのではないかと思い、ノートを読み進める。しかし、ノートには「あれ」とか「それ」としか書かれておらず、肝心の鍵となる言葉が出てこない。
地道な捜査で「あれ」の正体を突き止めた浅見は、いよいよ犯人に迫る。
内田康夫さんの体調不良により、途中で絶筆となってしまった『孤道』の完結編となっています。
本作品は『孤道』の後を継いだ作品となっているため、先に『孤道』を読んでおく必要がります。
やはり内田康夫氏が描く浅見光彦とは異なるものになっています。
ストーリー展開も、内田康夫氏がこだわるプロット無しで書かれた文章とは異なっていて、作者自身も先が見えない中で執筆しているドキドキ感は感じられず、あらかじめ考えられた結末に向かってひた走っている感じを受けます。
そのあたりに、内田康夫氏の文章を読み慣れた者からすると違和感を感じてしまいます。
しかし、未完成に終わった『孤道』を完結させたことは大いに評価すべきだと思います。
未完成だった『孤道』に命を吹き込んだのですから。
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