東川篤哉さんの『仕掛島』を読みました。
あらすじ
出版社の社長・西大寺吾郎が亡くなった。
西大寺が遺した遺言書PART 2を開封するときに立ち会うべき人を示した遺言書PART 1に従い、西大寺の親族と、甥の鶴岡和哉を探し出した探偵の小早川隆生、弁護士事務所の矢野沙耶香、僧侶の道楽は、瀬戸内海に浮かぶ孤島・斜島にある西大寺の別荘・御影荘に集まる。
四十九日の法要のあと、遺言書PART 2が開封されたが、翌朝、鶴岡が殺害されているのが発見される。
感想
東川篤哉さんというのは、いったい何者なのだろうと考えてしまいます。
ユーモアというオブラートに包まれているものの、その実体は本格推理小説。
ユーモアミステリを読んでいるつもりになっていたら、伏線がバリバリに張られた本格推理小説だったみたいな…
東川篤哉さんがどちらを目指しているのかはよくわかりませんが、面白いから良いかって…
今回の舞台は瀬戸内海に浮かぶ孤島。
台風が2つ連続して直撃したため、孤立してしまうというクローズド・サークルもの。
ユーモアを交えながらも、そこまでをサクサクっと整えてしまうあたりがさすがです。
『仕掛島』というタイトルも絶妙。
どこに仕掛が隠されているのかな?と思いながら読んでいると、次々に…
壮大すぎる感もありましたが、エンタテイメント小説としては面白いんじゃないでしょうか。
プロローグのどこまでが真実なのかわからない冒険談、奇妙な形をしている御影荘など、ちゃんと説明をつけてしまうのだから凄いなぁと。
作家は逆の立場から見ているので、説明をつけられるのは当たり前なのかも知れませんが、よくこれだけ奇想天外なことを思いつくなぁと思ってしまいます。
東川篤哉さんの作品にしては、ユーモアが若干控えめで、少し重めの内容になっていましたが、東川篤哉ワールドを堪能できる1冊になっていると思います。
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