小路幸也さんの『花咲小路四丁目の聖人』を読みました。
時代の波には逆らえず、空き店舗が増えて寂れる一方の花咲小路商店街。
ここに店を構える、中華料理屋、薬局、書店の主人や妻たちに、浮気やホストクラブ通いの噂が出る。
時を同じくして、香港の大手スーパーチェーン〈マッシュグループ〉による商店街の買収計画が持ち上がる。
商店街に土地を持ち、塾を経営する矢車家の矢車聖人、帰化する前の名前ドネィタス・ウィリアム・スティヴンソンは、かつて〈最後の泥棒紳士”セイント”〉と呼ばれた人物。
花咲小路商店街の危機に、聖人が立ち上がる。
私の中では、日常の小さな謎、問題を解き明かしていくというイメージが強い小路幸也さんですが、今回はもう少し大きな問題。商店街の買収騒動を相手にしています。
でも、解決の方法は、真正面からやり合うのではなく、泥棒紳士が自分の腕を利用して対抗するというところが、小路幸也さんらしいのかな?
この話はシリーズ化されていて、以降『花咲小路一丁目の刑事』、『花咲小路二丁目の花乃子さん』…と続くようです。
なので、今回と語り手である矢車亜弥や、その父親の聖人は、メインではなくなるのでしょうか?
浮気やホストクラブ通いの話がどう絡んでいたのか(なぜ、浮気やホストクラブ通いという形で現れたのか)、いまいちわからない部分もありましたが、それも合わせてミステリということで。
聖人のやることは、マジシャンのように想像がつかないものばかりで、少し惜しいなとも思いますが、違った人の目線から商店街を見るというのも面白そうです。
いつものほんわかとした雰囲気の小路幸也さんとは、ちょっと違った一面を見ることができた気がします。
次作にも期待です。
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