秋吉理香子さんの『眠れる美女』を読みました。
あらすじ
前身の〈東京グランド・バレエ団〉から〈東京スペリオール・バレエ団〉に体制を変更しての旗揚げ公演で、『眠れる森の美女』を演じることになった。
しかし、〈東京スペリオール・バレエ団〉に所属するダンサーだけではスポンサーや客を呼べないとして、銀行の担当者・野崎が、世界的バレリーナだったシルヴィア・ミハイロワを演出家に、ユリカ・アサヒナをプリマドンナとしてつれてきた。
しかし、ユリカはわがままで、遅刻早退は当たり前。だんだんとメンバーの士気が低下していく。
さらに、カラボスを名乗る人物から脅迫状が届く。
感想
『ジゼル』の続編です。
『ジゼル』のときに、一度ちゃんとバレエを見てみたいな、なんて言いながら、結局見ることなくこの作品に手を伸ばしてしまいました…
読みはじめてすぐに登場する、銀行の融資課長・野崎にさっそくムカムカ。
すべてをお金に換算する野崎。
金銭感覚も大事だけど、それだけで芸術は語れないんじゃないの?と、1冊こんな人間と付き合わないといけないのかと思うとうんざり。
しかし、間もなく野崎の手腕が発揮されることに。
あれ?野崎って、この作品のヒールじゃなかったんだと、ちょっと意外に感じました。
物語の前半こそ、脅迫状が届く程度で進んでいきますが、中盤以降、死者が出たり、事故が起きたりと物騒な出来事が続きます。
そして、すべてに片をつけての公演日。花音が客席を見て感じたひと言にハッとさせられました。
そうですよね。芸術って、本来そうあるべきなんですよね。
初心に立ち戻らせてくれる1冊でもありました。
コメント