石川智健さんの『エウレカの確率 経済学捜査官とナッシュ均衡の殺人』を読みました。
あらすじ
向山製薬のリストラ部屋、希少疾病第二部門で人体実験が行われていると告発する文章が、社員食堂に貼り出された。
コンプライアンス課課長の玉木良一は、犯人探しをはじめるが、候補を3人まで絞り込んだ時、そのうちの1人、三浦陽介がピーナッツアレルギーのアナフィラキシーショックで死亡する。
一方、警視庁特別捜査官を拝命した経済学者の伏見真守は、三浦は事故ではなく殺害されたと考え、ひとり捜査を開始する。
感想
『エウレカの確率 経済学捜査官 伏見真守』の続編です。
前作では、損得勘定を表に出した捜査手法で、たいしたことないなって印象。
正直、2作目を手に取るかどうかかなり悩んだのですが、結果的には前作よりかなり面白い作品に仕上がっていたと思います。
今回は損得勘定だけでなく、経済学者としてもっと深いところまで突っ込んだ推理をしているような気がしました。
一方で、怪文書の犯人を面接の繰り返しだけで見つけようとする玉木のやり方は、こんなやり方ではいつまで経っても犯人を見つけられないだろうという失笑もの。
その玉木と伏見を組ませたところが1番の勝因だったかな。
最後の伏見の推理は、予想もつかないような冴えたものでしたし、その結果も皮肉なもの。
ひとつの才能が潰れてしまったわけですが、これが現実じゃないから良しとしましょうか…
前作を読んで、次を手に取るかどうか悩んでいる方は、ぜひ手に取ってみてほしいと思いますし、前作を読んでいない方は、この作品から読んでしまっても良いと思います。
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