小説家の織部妙は、美人の新人作家・橋本なぎさと文学賞のパーティーで出会う。
しかし、妙の興味はなぎさではなく、なぎさの秘書・初芝祐の方に惹かれていた。
そして、妙の疑惑は、確信へと変わっていく…
近藤史恵さんの『夜の向こうの蛹たち』を読みました。
あらすじ
小説家の織部妙は、出版社のパーティーで、昨年新人賞を獲得した橋本さなぎを紹介される。
しかし、織部は橋本よりも、橋本の秘書・初芝祐に好意を持つ。
祐と何度か会ううちに、織部は祐が橋本さなぎのゴーストライターではないかと疑いを持ちはじめる。
感想
女性にしか興味を持てない織部妙。
興味を持った女性に近づいていくのには、男女の関係以上の慎重さが求められるようです。
男女であれば、告白して振られても、なんとか友達としての関係を続けられるかも知れませんが、きっと男である私が男性に告白して振られたら、人間関係そのものが壊れることになるでしょう。
LGBTなどと盛んに報じられている現在ですが、実態はそんなものじゃないでしょうか。
小説家たちが出てくる作品ですが、小説を書くこと自体に重きは置かれていません。
小説の作風と、小説家の雰囲気の問題。
そんなこと、大きな問題ではないと思ったりもするのですが、確かに作品を読んだあとに作者の顔写真を見て、あれこれ思うことは私もあるかも。
最後は、蛹から羽化していってほっと一息。
蛹になれても、羽化できない個体は少なくありませんが、タイトルがピタッとはまるような素敵な作品でした。
コメント