東川篤哉さんの『純喫茶「一服堂」の四季』を読みました。
安楽ヨリ子シリーズ
村崎蓮司は講談社ならぬ放談社の〈週刊未来〉の記者。
遠い親戚の緑川静子に呼ばれて鎌倉の屋敷を訪れると、静子から夫・隆文の浮気調査を依頼された。
隆文が仕事のために籠もった離れを監視していたが、翌朝になって隆文は、離れの中で十字架に縛り付けられて絶命していた。
事件記事を書くために再び鎌倉を訪れた村崎が、雨やどりのために入った喫茶店は、人見知りの女主人が細々とやっている店だった。
しかし、事件のあらましを聞くと、女主人の人格が変貌し、自らの推理を語り出した。
感想
以前にも読んだことがある作品なのですが、事件のあらましを聞いたところで、突如喫茶店の女主人の人格が変わり、推理を語り出すというところ以外、あまり記憶に残っていなくて…(それだけインパクトがあるんです)
で、先日発売された、『居酒屋「一服亭」の四季』を読む前にと思って、再びこの本を手に取ったわけです。
事件の話を聞いたところで、いきなり大胆な発言をするというのは、『謎解きはディナーのあとで』に似た展開。
『謎解きはディナーのあとで』では、比較的エレガントな事件が多かったのに対し、この作品は猟奇的殺人を扱っているというのは大きな違いでしょうか。
でも、十字架にも、バラバラ死体にもちゃんと意味があって、その使い方がちょっとひねくれているところが、東川篤哉さんらしいなぁと。
タイトルに「四季」が入っているように、春夏秋冬それぞれに発生した事件、4編が収められているのですが、最初の春の事件の2ヵ月前に起きた事件を最後に持ってきたところに、東川篤哉さんらしさを感じました(ここまで大胆だとは思いませんでしたが…)。
時間軸をちょっとずらしてやるのも、東川篤哉がよくやる手(『交換殺人には向かない夜』とか、『君に読ませたいミステリがあるんだ』とか…)。
記憶にはあまり残っていませんでしたが、改めて読むと、東川篤哉さんらしさが詰まった1冊になっていました。
『居酒屋「一服亭」の四季』についての情報はまだ集めていないのですが、おそらく、続編に近い形になっているんだろうなぁと、予想しています。
あらすじなんかは読まずに、いきなりページを開いてみようかなって思ってます。
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