赤川次郎さんの『珈琲色のテーブルクロス 杉原爽香51歳の冬』を読みました。
あらすじ
客を見送るために東京駅の新幹線ホームへやってきた杉原爽香。
ドアが閉まる直前に車両に飛び乗った女性客がホームに落とした荷物を手渡そうとしたところ、車両内に引っ張り込まれてしまった。
次の駅で下車して無事に帰り着いた爽香だったが、新幹線のトイレでは、先程の女性客が殺害されていた。
感想
登場人物が1年に1歳ずつ歳をとっていく「杉原爽香シリーズ」の第37弾です。
タイトルの通り、珈琲色のテーブルクロスが、多くの人の運命を変えていってしまいます。
いつも内容に沿ったタイトルがつけられていますが、ここまで主役になった作品は珍しいのではないでしょうか。
赤川次郎さんのことだから、この人が怪しいかなぁ?と深読みした人は真っ白で、比較的ストレートに悪役、主役が分かれていました。
これも珍しいかな?
さらに、タイトルの最後につく季節が、春や夏なら暖かめの作品、秋や冬だと暗い、重い作品ということが多いのですが、今回は冬にも関わらず、気が重くなることなく読み切ることができました。
これも珍しいこと。
そして、爽香の娘・珠実は、15歳の中学3年生に。
爽香のデビュー作『若草色のポシェット』で爽香は15歳でしたので、これで1世代まわったことになります。
37冊となると、なかなかもう1度読み返そうという気にはなりませんが(特に『暗黒のスタートライン』などは気が重くなるので読みたくない)、あんなことがあったなぁ、こんなことがあったなぁと、これまでの37年が頭の中を駆け巡ります。
その珠実ですが、だんだんと爽香に似てきたようで…
「大体、お母さん、今になって私に普通の十五歳になれっていうの? 無理だよ」
という台詞には思わず吹き出してしまいました。
珠実の”事件デビュー”も遠いことではなさそうです。
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