大倉崇裕さんの『犬は知っている』を読みました。
あらすじ
笠門達也巡査部長は、ファシリティドッグのピーボと共に病院を訪問し、動物介在療法を行うことを仕事にしている。
特に、刑務所や拘置所から重病を患って入院してきた患者から本音を聞き出すことも重要な役割だ。
今回ピーボが話を聞いたのは、大腸がんで余命半年と診断された強盗犯の橋本金治。
橋本はピーボに、1度だけ殺人の現場を見たことがあると話しかける。
感想
ファシリティドッグを使って、警察には漏らさない情報を聞き出すという、ユニークな設定。
警察の犬というと、警察犬(もしくは情報屋?)を思い浮かべますが、ファシリティドッグはまったく別の訓練を受けた犬なんだそうです。
犬にとってはストレスの大きな仕事らしく、しっかりと休憩を与えているのが印象的でした。
『一日署長』の資料編纂室の五十嵐いずみも登場。
今回はいずみが過去に飛ばされるのではなく、笠門とピーボが事件捜査にあたるんですね。
『一日署長』同様、短編が5つと、ほどよい分量。
犯人に行き着く前のところが、少しすっ飛ばされている気がしなくもありませんが、問題があるほどではありません。
毎回出てくる、ピーボと小児病棟の子どもたちのふれあいが心温まります。
こちらもシリーズ化してくれないかなぁ。
表題作のほか、『犬に囁く』、『犬が寄り添う』、『犬が見つける』、『犬はともだち』が収められています。
『犬に囁く』
9人を殺害して死刑判決を受けた堀隆太郎。
しかし、ピーボに対して、7件目はオレじゃないと語りかける。
『犬が寄り添う』
爆弾を所持していた可能性がある鴫山和子から、爆弾の設置場所を聞き出すよう依頼を受ける。
『犬が見つける』
情緒不安定で転院してきた男の子が、転院前の病院の窓から殺人の現場を見てしまったと告白する。
『犬はともだち』
元情報屋の叶田稔次が、警視庁総務課長の須脇が犯罪に関わったとも受け取れる寝言を言った。
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