小路幸也さんの『ヒア・カムズ・ザ・サン』を読みました。
あらすじ
『夏:猫も杓子も八百万』
古書店〈東京バンドワゴン〉で、夜の内に書架の本が数冊床に落ちるということが発生する。
さらに、女性陣が白い幽霊を見たという。
一方、遺品整理をしていたら、〈東京バンドワゴン〉の値札が貼られた古書が出てきたと言って、男性が訪ねて来た。
感想
「東京バンドワゴンシリーズ」の第10弾です。
勘一の曾孫、かんなと鈴花が幼稚園へ行きだし、育児も一段落といったところでしょうか。
我が家はちょっと変わった幼稚園に通わせたため、親(ほとんどが妻ですが…)も大変でしたが、この頃になると、こちらの言うことも理解するようになって、ずいぶん楽になった記憶があります。
登場人物が毎年1歳ずつ歳を取っていく、赤川次郎さんの「杉原爽香シリーズ」ほどではないものの、毎回少しずつ歳を取っていくこのシリーズ。
4世代家族を描こうとすると、どうしても亡くなっていく方も…
小路幸也さんには、もう少し超高齢化社会を迎えている日本の現実を切り取ってほしいかなと思ったりもします。
今回の話では、幽霊騒ぎが。
非現実的な話をすっと差し込むのが得意な小路幸也さんのことだから…と思っていたのですが、かなり現実的な解が用意されていました。
まぁ、語り手であるサチさん自身が、幽霊のようなものなのですが…
その他、『秋:本に引かれて同じ舟』、『冬:男の美学にはないちもんめ』、『春:ヒア・カムズ・ザ・サン』が収められています。
『秋:本に引かれて同じ舟』
区立図書館の書架に、古書店で購入されたと思われる本が置かれる事案が頻発しているという。
一方、堀田家の外観を、敷地に入ってカメラに収めていった女性が目撃される。
『冬:男の美学にはないちもんめ』
新年を迎えた〈東京バンドワゴン〉に、宮内庁書陵部の国坂が訪ねてきた。
国坂に見せる書籍は無いと勘一が追い返すと、蔵の中の書籍をデジタルアーカイブ化した藤島の会社に手を回してきた。
『春:ヒア・カムズ・ザ・サン』
出会いと別れの春。研人は、ガールフレンドの芽莉依と同じ高校を受験したが不合格。別々の高校に通うことになってしまった。
研人が芽莉依とのことを言い出さないため、堀田家の人々は芽莉依の名前を口にすることができないが…
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