小路幸也さんの『花咲小路一丁目の髪結いの亭主』を読みました。
あらすじ
専門学校を出た谷岡せいらは、花咲小路商店街にある理髪店〈バーバーひしおか〉に飛び込みで雇ってもらった。
〈バーバーひしおか〉では、奥さんのミミ子が髪を切っていて、旦那さんの凌次郎は店のソファに腰掛けて雑談に耽っている。
そんな凌次郎のもとに、借金の形に預かったペンダントを見て欲しいという依頼が舞い込む。
感想
「花咲小路シリーズ」の6作目です。
江戸時代、髪結いというのは女性の職業。
その髪結いを女房にさせて、自分はその稼ぎで遊んでいる旦那のことを「髪結いの亭主」と言ったそうです。
〈バーバーひしおか〉も、ミミ子が取り仕切り、凌次郎は定職に就いていないので、まさに「髪結いの亭主」。
でも、その凌次郎は、若い頃、ルーヴル美術館で学芸員をしていたと言いますから、2人の間にどんなロマンスがあったのか気になってしまいます。
語り手は、〈バーバーひしおか〉に飛び込みで雇ってもらった谷岡せいら。
口が堅く、頭の回転が速い、と言うよりは、キレの良い女の子です。
美容室なんかだと、専門学校を出たからといって、すぐにお客さんの髪を触らせてもらえるわけじゃないようですが、理髪店の場合はどうなんでしょうね。
あまりそのあたりの知識を持っていなかったなぁと感じました。
小路幸也さんは、というか、特にこのシリーズでは(?)、LGBTといったセクシャルマイノリティを取り入れているなぁという印象を受けます。
特に取り入れる必要もないと思う場面でも入れてくるのは、何か考えがあってのことなのでしょうか。
扱い方を間違えると、批判を受けてしまいかねないところにわざわざ踏み込むあたり、勇気のある方だなぁと思ってしまいます。
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