拓未司さんの『禁断のパンダ』を読みました。
あらすじ
〈ビストロ・コウタ〉のオーナー兼シェフ・柴山幸太は、妻・綾香の友人の結婚式に出席することになった。
披露宴が行われるのは、神戸のグルメガイドブックで堂々の1位に君臨する〈キュイジーヌ・ド・デュウ〉。
幸太は石国努シェフの味に魅了されてしまう。
しかし翌朝、〈キュイジーヌ・ド・デュウ〉と取り引きのある運輸会社の社員・松野庄司の遺体が発見される。
感想
第6回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作です。
舞台は神戸!
と言っても、神戸も広いのですが、神戸と言われてすぐに想像するあたりが舞台になっています。
ハーバーランド、モザイク、ポートタワー…
ちなみに、うちの母は独身時代、ポートタワーの近くにあった船会社に勤めていたそうです。
そんなこともあって、登場人物たちが話すのは関西弁。
すべてを関西弁にしてしまうと、読みづらさを感じることが多いのですが、不思議とこの作品ではそれがないんですよね。
生まれた街と同じ方言だからでしょうか?
グルメがひとつのキーワードになっているのですが、あくまでもメインディッシュではなく、副菜的な役割でしょうか。
あくまでも主軸は、殺人事件や失踪事件の方に置いておられるんだと思います。
謎を解いていこうと思うと、『禁断のパンダ』という絶妙なタイトルがその邪魔をしてきます。
終盤はだんだんとグロテスクな方向へ。
最後に用意された食材は、美味しくないと聞いたことがあるのですが、それをいかに美味しく調理するかが、名シェフなのでしょうか。
それとも、最後の最後に用意したものなら…??
そして、最後の段落が効いていますね。
この1段落で、鳥肌が立ちました。
これが新人賞受賞作?と思うくらい完成度が高いですし、感性の良い方なんだろうなと思います。
好みは分かれるところだと思いますが、私は好きな作品ですね。
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