下村敦史さんの『絶声』を読みました。
あらすじ
父親が死ぬ1時間半前、堂島太平の屋敷で、長女の美智香と後妻の息子・大崎正好が、その時を待ちわびていた。
しかし、部屋に入ってきた長男の貴彦が、「父さんが生きている」と言いだした。
父・太平は7年前に膵臓がんを患いながら失踪。
家庭裁判所による「失踪宣告」によって、死亡が認められる前日、太平のブログに『私はまだ生きている』という記事が更新されたのだった。
感想
以前読んだ『告白の余白』が面白かったので、もう1冊手を伸ばしてみました。
『告白の余白』とは雰囲気の違う作品でしたが、こちらも面白い!
一気に読み切ってしまいました。
「父親が死ぬ1時間半前」って、どういうことなんだろう?と思っていたのですが、『失踪宣告』のことだったんですね。
失踪して7年以上が経過した場合、親族などへの聞き取り調査ののち、官報や裁判所の掲示板に3ヶ月以上公示され、生存が認められなかった場合に、『失踪宣告』がなされ、本人死亡の扱いになるそうです。
今回の場合、太平が〈昭和の大物相場師〉と呼ばれた富豪でしたので、遺産が15億円ほどなんだとか。
特に長男、長女は大きなお金が早急に欲しい状況なので、失踪宣告が延期されると困るわけです。
次男の正好も、小口ながら借金を抱えているようで…
最後は大どんでん返し!
これぞ、本当のどんでん返しですねー
『告白の余白』も、最後にどんでん返しが用意されていましたが、下村敦史さんはこういう作風なのでしょうか?
失踪宣告前日にブログに書き込みがあったというのも、単に話を面白くするためだけでなく、深い意味があったんだとわかったときには、思わずため息が。
もう1冊手に取りたくなる作家さんです。
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