中山七里さんの『ふたたび嗤う淑女』を読みました。
あらすじ
衆議院議員・柳井耕一郎の資金団体であるNPO法人〈女性の活躍推進協会〉の代表・藤沢優美は、不祥事による会員の脱会などにより、収入源である会費や寄付金の減少にあえいでいた。
そんなとき、スタッフの1人・神崎亜香里からFXの投資アドバイザー・野々宮恭子を紹介される。
恭子は優美から預かった20万円を、たちまち34万6525円に増やしてみせた。
ギリシャの経済危機に乗じて、1億円の利益を目標にした優美は、香子に言われたとおり1億円の元手を用意する。
感想
『嗤う淑女』の続編です。
Wikipediaを見ると、『嗤う淑女二人』とあわせて、「淑女シリーズ」とされていますが、「嗤う淑女シリーズ」とした方がしっくりくるように思います。
『嗤う淑女』では、「女性って怖い」という感想でしたが、今回は「金や地位に目がくらんだ人間ほど愚かなものはいない」と感じました。
「身の丈に合わない欲は我が身を滅ぼします」という言葉が出てきますが、まさにそんな感じ。
でも、最後まで読むと、やられた!と思うと同時に、「やっぱり女性は怖い」と思ってしまいました。
『嗤う淑女』では、次々と詐欺を働いていって、私腹を肥やしていくという印象があったのですが、この作品では、お金と違うところに目的がある様子。
お金に関しては、これまでに充分稼いだのでしょうか。
人を騙すことに歓びを覚え、人の人生をもてあそぶことに歓びを覚えているように感じました。
それにしても、みんな面白いように騙されること。
こっちはそういう話だと思って読んでいるので、騙される様子を楽しめるのですが、当事者になると、つい欲に目がくらんでしまうのでしょうね。
コロッと騙されていく様子と、次はどんな手で騙すのだろう?というところを、十二分に楽しむことができました。
これまで、読み終わったあとにいや~な後味が残るミステリ、いわゆる〈イヤミス〉を避けてきたのですが、『嗤う淑女』もイヤミスに分類されるんですね。
この程度なら、全然問題ないかなぁ(というか、むしろ好物かも)ってことで、これまで避けてきたイヤミスにも少し手を出してみようかと思います。
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