【読書】原田ひ香『その復讐、お預かりします』

著者ハ行 ▼著者 ハ行

「全財産をかけられないぐらいなら、やめた方がいい。あんたの復讐心はそうたいしたことはない」
大手商社で社長秘書をしていた神戸美菜代は、2つ年上の陣内俊彦と恋に落ちた。
しかし、陣内は美菜代を上司に顔を覚えてもらうために使ったあと、さっさと別の社員と結婚してしまった。
復讐屋の鳴海慶介に陣内への復讐を依頼するが、依頼料を払えず断られてしまう。

原田ひ香さんの『その復讐、お預かりします』を読みました。

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あらすじ

神戸美菜代は、社長秘書という自分の立場を利用するだけ利用して、別の社員と結婚した陣内俊彦への復讐を、復讐屋の鳴海慶介に依頼したが、依頼料を払えずに断られてしまう。
翌日、美菜代はふたたび鳴海の事務所へ赴き、押しかけ秘書として働きはじめる。

感想

お初の作家さんです。
新聞広告を見て、面白そうだなと思って手にしてみました。

『復讐屋鳴海慶介の事件簿』というタイトルで文庫化されていたものを、改題して新装版として発刊したそうですが、第1刷の発行が2024年12月14日。私が手にしたのは第6刷で、2025年2月13日の発行という、驚くべきペースで増刷されています。
ちょっと地味かな?と思われるタイトルを今風に改めて、注目を浴びたといったところでしょうか…
かく言う私も、タイトルに惹かれて手に取った1人ですし。

復讐屋の鳴海慶介ですが、その復讐の方法が独特。
手付金だけ受け取って、基本的に何もしない…
復讐をしたという一時だけの満足感を得るよりも、取るに足らない人間だったと思えるようになった方が幸せになれるという持論の持ち主。
確かにそれは言えているかもなぁなんて思いながら読んでいました。

因果応報という言葉が事実なら、ひとに復讐を依頼したくなるような人間は、勝手に沈んでいくのでしょうし。

連作短編集になっていて、5話目で区切りがついているものの、続きがあってもおかしくない終わり方。
ぜひ、続きが読みたいなぁと思っているのですが…

収録作品

『サルに負けた女』、『オーケストラの女』、『なんて素敵な遺産争い』、『盗まれた原稿』、『神戸美菜代の復讐』が収められています。

サルに負けた女

鳴海事務所を訪ねてきた荻野貴美子は、セレブだけが集う婚活パーティで知り合った宗方裕也と婚約したが、ある日突然婚約を破棄された。
なんでも、宗方の家で飼育されているサルに負けたのだという…

オーケストラの女

新関東フィルでコンマスを務める女性ヴァイオリニストの永倉乙恵は、新しくやってきた指揮者が連れて来たヴァイオリニストに、コンマスの座を奪われた。
半分芸能人のようなその新しいコンマスの技量に納得がいかない乙恵は、復讐を依頼するが…

なんて素敵な遺産争い

事務所のドアが突然開き、杖をついたお年寄りが入ってきたと思ったら、鳴海に詰め寄り、杖で殴りかかってきた。
8年前に成瀬が纏めた報告書が原因で、妻と離婚することになったのだという。

盗まれた原稿

脚本家を目指す永沢めぐみは、スクールで仲良くなった大日向彩に自作のシナリオを見せたところ、けちょんけちょんにけなされた。
しかし1年近く経ったとき、彩がシナリオ大賞を受賞したが、その内容はめぐみが彩にけなされたシナリオそのものだった。

神戸美菜代の復讐

成瀬事務所に勤めていた美菜代だが、ついに陣内への復讐を決意する。

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