【読書】塔山郁『薬なければ病なし 薬剤師・毒島花織の名推理』

塔山郁 薬剤師毒島花織の名推理シリーズ └ 塔山郁

認知症が進んでしまった祖母が所有している証券を売って、スタッフの対応やサービスが良い特別養護老人ホームに入れてやりたい――。
ホテルのフロントで働く原木くるみは、先輩の水尾爽太が想いを寄せる薬剤師の毒島花織を呼び出して相談に乗ってもらう。
薬のこととなると名探偵顔負けの推理を展開する花織だが…

塔山郁さんの『薬なければ病なし 薬剤師・毒島花織の名推理』を読みました。

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あらすじ

認知症と証券

ホテルのフロントで働く原木くるみは、両親と弟、祖母の5人暮らしだが、数年前から祖母に認知症の症状が現れはじめた。
その後も症状が進み、自宅での介護に無理が出てきたので、環境が整った施設に入れてやりたいが、お金がない。
そんなときに出てきたのが、祖母が所有している証券だったが、本人の意思で売ることは困難な状況になっていた。

感想

「薬剤師・毒島花織の名推理シリーズ」の第6弾です。

今回は、花織に想いを寄せるホテルマンの水尾爽太の登場はなし。
なんでも、軽井沢にオープンした系列のホテルのヘルプに行っているのだとか。

全部で6編の短編とショートショートが交互に収録されていますが、どちらも物語の長さに合わせた巧妙な展開の作品ばかりでした。

現代の社会問題が巧妙に取り入れられていて、介護や痴呆症、闇バイトに自傷行為…
すべてに答えが示されたわけではありませんが、少なくともヒントをもらった気がします。

それにしても、薬のことになると名探偵顔負けの推理を見せる花織ですが、それ以外のことになると…
水尾に同情したくもなりますが、花織がこういう人なのだから、もっと積極的にならないと!とも思ってしまいます。

今回は、花織の過去についても少し触れられています。
これまでも、過去について触れた部分がありましたが、今回はより具体的だったかな。

終盤には”境界の薬剤師”なんていう新しい人物も出てきて…
まだまだこのシリーズは続きそうですね。
でも、そうなると、水尾の想いが実を結ぶのはまだまだ先のことになってしまうのでしょうか…

収録作品

『認知症と証券』のほか、『眠れない男』、『はじめての介護』、『誰にも言えない傷の物語』、『処方箋と闇バイト』、『肝油ドロップとオブラート』が収められています。

眠れない男

不眠症に悩む星野栄一郎は、30余年ぶりに医者にかかった。
30年前と違い、病院で受け取った処方箋を調剤薬局に持っていって薬を受け取るらしいのだが、担当の薬剤師の名前が、あろうことか”毒島”だった。

はじめての介護

大学生の青柳亮平は、3ヶ月前から同居をはじめた祖母の通院に付き添うことになった。
祖母は、以前かかっていた病院で処方されていた”イクラ”みたいな薬が良かったと言うのだが…

誰にも言えない傷の物語

アレルギー治療薬を受け取るために、どうめぎ薬局に通っていた矢倉雅の母が花織に礼を言いに来た。
その日は花織は公休で、方波見が代わりに対応する。

処方箋と闇バイト

どうめぎ薬局が扱った処方箋の中に、カラーコピーが混じっていた。
若者の小遣い稼ぎとして、違法に受け取った薬を売る闇バイトが広まっているという。

肝油ドロップとオブラート

精神を病んで治療中の馬場には、どうしても気になることがあった。
小学生の時、兄と肝油ドロップをつまみ食いをしたのだが、数ヶ月後にそれが母にバレた理由を知りたいと思っていたのだ。

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