【読書】衣刀信吾『午前零時の評議室』

著者ア行 ▼著者 ア行

評議の制限時刻は午前零時。その時間までに評議を終えなかったり、間違った場合は、この部屋は自動的に爆破されます――。
嵐の夜、裁判官の元邑によって集められたのは、13年前に裁判員裁判によって誤って無罪になった事件に関わった人物たち。
元邑は彼らに、近々行われる裁判員裁判の被告人が有罪か無罪かを評議せよと迫る。

衣刀信吾さんの『午前零時の評議室』を読みました。

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あらすじ

弁護士事務所でアルバイトをする神山実帆は、元交際相手を殺害した罪で起訴された赤根菜々絵の裁判員に選ばれる。
さらに、その裁判の裁判長を務める元邑判事に、他の裁判員とともにオリエンテーションと称して集められるが、集まったのは13年前の裁判で無罪を勝ち取ったあと、有罪を告白した事件の関係者だった。
元邑は、菜々絵が有罪なのか無罪なのかを評議せよと迫る。

感想

第28回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作品です。

なんだか、もやもやとした気分になった作品でした。

終盤の3分の1くらいは、劇的転換点(ターニングポイント)の連続。
たしかに、驚きは多い方が良いのですが、これだけターニングポイントを作ってしまうと、齟齬がないようにするのはかなり難しいです。
例に漏れず、この作品も、辻褄が合わないところがいくつもあって、「うーん」と…
数を撃てば良いってものじゃないと思うんですよね。

あと、一応専門家なので指摘せずにはいられないのですが、ドアノブに高電圧がかけられていたとしても、金属を投げつけただけでは火花が飛ぶようなことはありません。
安っぽいドラマや映画の見過ぎ。
電気が流れるには、電圧が高いところと電圧が低いところを繋いでやらないと。
ドアノブと投げた金属の間に電気が流れるのであれば、ドアノブから地面に向かって雷みたいな電気が流れているはずです。
正直、序盤のそんな場面で少し興醒めし、そのあとも巻き返されることなくずるずると、って感じでした。

基本的に時系列に沿って描かれており、細かく現在時刻が記載されているのですが、これだけのことがたった10分の間に起きたのかな?と思う場面もあったり…

個人的には、午前零時のところで止めておいた方が、読了感は良かったんじゃないかな?って思いました。
ただ、賞を狙いにいくには、この形だったんでしょうね…

コメント

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