病院に勤務しながら、余命宣告をされた裕福な女性を探し、遺産目的で結婚する男…
自宅で妻の法要をするために、息子の手を借りて引き出物からリフォームまでの手配をする夫…
仲違いしてしまった国民的作家の遺品分与でワープロを受け取った休筆中の作家…
余命宣告をされ、最後のチャンスを掴むために日本一を目指すピン芸人…
人の数だけ終活の形がある。
秋吉理香子さんの『終活中毒』を読みました。
あらすじ
SDGsな終活
病院に勤務しながら、じっくりと獲物を物色する。
狙うのは、余命宣告をされた裕福な女性。
年齢も、釣り合う相手でなければならない…
過去に2度、同じ手口で遺産を受け取った男が目をつけたのは、タワーマンションの最上階に住む45歳の女性。そして独身。
入籍した2人は郊外の家に引っ越すが、妻は遺産はすべてSDG’s活動に積極的な団体や企業に寄付すると言い出す。
感想
しばらく秋吉理香子さんの作品を読んでいなかったら、禁断症状のようになってきたため(なんと大袈裟な…)、この作品を手に取りました。
以前、『婚活中毒』を読みましたが、それと同様に、終活をテーマにした短編が4編収められています。
『婚活中毒』を読んだときは、「女性って怖っ!」ってなりましたが、1作目の『SDGsな終活』はまさにそんな読後感。
今回も同じような結末が続くのかな?と思いながら読んでいくと、儚かったり、モヤモヤが吹っ切れたり、感動したり…
人の数だけ終活の形があるんだなぁって思いました。
特に、最後に収められている『お笑いの死神』は良い作品でした。
この作品を読むためだけに手に取っても良いんじゃないかなって思いました。
それまでの3作を読んでからだったので、良さが増幅されたというのもあるかも知れません。
収録作品
『SDGsな終活』のほか、『最後の終活』、『小説家の終活』、『お笑いの死神』が収められています。
最後の終活
妻の3回忌を前に帰ってきた息子の浩未が、友人を呼んで自宅で法要を行おうと言い出す。
浩未は、返礼品からリフォームの手配まで、インターネットを使ってあっという間にすませてしまう。
小説家の終活
同じ文学賞を受賞して作家デビューした神崎と花菱あやめ。
あとからデビューしたあやめが先に亡くなった。
遺族の誘いを受けて遺品の分与に立ち会った神崎は、文学賞の正賞だったワープロを受け取る。
お笑いの死神
売れないピン芸人・六ちゃんは、余命数ヶ月と告げられる。
妻と子供に優勝賞金を残すため、自分の終活として、六ちゃんはピン芸人の日本一を決めるP1グランプリに挑戦することを決意する。
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