ビルの清掃作業を行うキリコが女性から頼まれたのは、そのビルにオフィスを構える会社社員の浮気調査だった!
しかたなく1週間だけの約束で調査を請け負ったキリコが見たのは、会社帰りにシュークリームを2個買ってマンションの部屋へと消えていく男性の姿だった。
「清掃作業員探偵キリコシリーズ」第4弾。
近藤史恵さんの『モップの精と二匹のアルマジロ』を読みました。
あらすじ
今回キリコが派遣されたのは、夫の大介が出向することになったビルの清掃。
早朝、ロビーの清掃をしていると、ガラスの外からキリコを凝視する越野真琴の姿が…
同じビルにオフィスを構える、残業時間が少ないことを売りにする会社に勤める夫・友也の帰りが毎日遅いため、浮気をしていないか調査をして欲しいと言うのだ。
1週間という約束で調査を始めたキリコだったが、友也が自宅とは別のマンションの部屋に消えていくのを確認した翌日、友也が帰宅途中に車ではねられてしまう。
感想
「清掃作業員探偵キリコシリーズ」の第4弾にして、初の長編です。
前作『モップの魔女は呪文を知っている』の感想で、キリコの夫・大介の再登場を願ったのが通じたのか(私が『モップの魔女は呪文を知っている』を読むより先に刊行された作品なのですが…)、キリコ、大介夫妻で調査にあたることになります。
やっぱりこの2人の組み合わせは良いですね。
ずっとこんな仲の良い夫婦でいてほしいと思うと同時に、我が家もそんな夫婦でありたいと改めて思います。
「清掃作業員探偵キリコシリーズ」初の長編ということですが、連作短編を読んでいるような印象をうけたりも。
解決が近づくと次の事件が起き、また解決が近づくと次の事件が起きといった感じ。
もちろん、作品を通しての謎は存在するのですが、一難去ってまた一難という言葉がぴったりとくるような作品になっています。
LGBTにもほんの少し踏み込んだ作品になっているのですが、その中で初めて聞いたのが「Aセクシュアル」という言葉。
他社に対して、性的欲求や恋愛感情を抱かないセクシュアリティのことを指すらしいのですが、言われてみると、身近にも多かれ少なかれ、そういう人がいるかも。
本人に確認したわけではないですが、そう言われてみると納得できるケースがあります。
他人が書いた文章を読むと、こういった発見、勉強ができて良いですよね。
それにしても、タイトルにある「二匹のアルマジロ」というのが秀逸。
上手い例えだなぁと、感動してしまいました。
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