【読書】柚月裕子『検事の本懐』

柚月裕子 佐方貞人シリーズ ├ 柚月裕子

任官3年目にして、上司から全幅の信頼を置かれている佐方貞人検事。
正義のためなら身を粉にして仕事に取り込む、検事のあるべき姿を地で行く佐方が若き日に手がけた事件を収録。
さらに、弁護士だった父と、自らが検事を目指すきっかけとなったエピソードも収録。
「佐方貞人シリーズ」第2弾。

柚月裕子さんの『検事の本懐』を読みました。

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あらすじ

樹を見る

県下で18件の連続放火事件が発生した。
捜査線上に浮上したのは、16件目の火災発生時に警官の制止を振り切って現場から逃走した新井友則。
警察は新井を別件逮捕して送検するが、担当検事になったのが任官して3年目の佐方貞人だった。
唯一死者を出した13件目だけは自分の仕業ではないと言う新井の証言を聞き、佐方は13件目の放火事件を洗い直す。

感想

「佐方貞人シリーズ」の第2弾。
『最後の証人』の次に刊行された作品ですが、『最後の証人』では佐方貞人が検察を辞めて弁護士になったあとを描いているのに対し、この作品では佐方が若手検察官として働いていた期間が描かれています。

常に大量の案件に忙殺されている検察において、佐方は疑問があれば調べないと気がすまない熱血漢。
その若さからくる正義感は、時に上司にとって煩わしいものに映るのでしょうが、ちゃんと成果を上げてくる佐方は一目を置かれる存在のようです。

最後に収録されている『本懐を知る』では、佐方のバックボーンや人格形成の様子が見れて面白かったです。
「佐方貞人シリーズ」を読まれる方なら、この掌編を目当てにこの作品を手にしても良いかも。

収録作品

『樹を見る』のほか、『罪を押す』、『恩を返す』、『拳を握る』、『本懐を知る』が収められています。

罪を押す

塀の中と外を行ったり来たりしている累犯者・小野辰二郎。
今度は出所当日に住居侵入及び窃盗罪で逮捕され、送検されてきた。
小野が全面的に罪を認める一方で、佐方は小野の無実を疑う。

恩を返す

佐方のもとに、高校の同級生・天根弥生から電話があった。
結婚を控えた弥生は、中学生の時に暴行された様子を映したビデオをネタに強請られているという。

拳を握る

財団法人『中小企業経営者福祉事業団』と国会議員の贈収賄事件の捜査のため、佐方は東京地検特捜部の応援に借り出されることになった。
その捜査の中で、佐方は重要な参考人の事情聴取を任されることになる。

本懐を知る

週刊『ピックアップ』のライター・兼先守が目をつけたのは、14年前、広島で弁護士が業務上横領の罪で懲役刑を受けた事件だったが、その弁護士こそ、佐方貞人の父・陽世だった。

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