「異議あり」
連続爆弾魔・自称スズキタゴサクの裁判が行われている法廷の傍聴席から、その声は発せられた。
声をあげたのは被害者遺族会の一員・柴咲奏多。
柴咲は持ち込んだ拳銃と爆弾で法廷をジャック。動画投稿サイトでライブ配信をはじめる。
特殊犯係の高東は類家を補佐につけて柴咲との交渉に当たる。
また、傍聴席の最前列には午後の審理で証言予定の倖田沙良巡査が座っていた。
あらすじ
都内十数ヶ所で起こった連続爆弾事件の犯人・自称スズキタゴサクの5回目の審理が行われている東京地方裁判所の104号法廷で、傍聴席に拳銃と爆弾を持ち込むことに成功した柴咲奏多が、約100名の人質を取って立てこもった。
柴咲は動画投稿サイトでライブ配信を行いながら、死刑囚に対する刑の執行を要求する。
特殊犯係の高東は類家を補佐役に据えて柴咲との交渉に当たる。
感想
「このミステリーがすごい!2023年版」国内編、「ミステリが読みたい!2023年版」国内篇で1位に輝いた『爆弾』の続編です。
読む前から抱いていた「面白そうな小説」という予想以外、ことごとく裏切られました。
法廷ジャック犯の柴咲に感じていた人と成りに裏切られ、予想していた人質解放の方法に裏切られ、特に映画で言われる続編は面白くないというジンクスに裏切られ…
ついでに言うと、少しネタバレになるかも知れませんが、これが完結編になるだろうという予想も裏切られてしまいました。
緊迫感があり、一寸先も予想できない立てこもり犯と警察のやりとり、そこに加わるスズキタゴサク。
予想もできない結末。
そして、次回作への期待…
つまりは、面白かったということですね。
ただ、気になったのは、法廷への拳銃と爆弾の持ち込み方。
確かに金属探知機で身体検査をする係員の死角をついた方法ではありますが、金属探知機が反応するはずがないところに反応があれば、いくらアンタッチャブルな場所であっても調べると思うんですよね。
『スワン』のときもそうだったのですが、舞台を準備する部分に納得がいかないので、その思いを引きずったまま読むことになってしまうんですよね…
あとは、警察官同士でゴタゴタしているのをどう読むか。
警察の無能さを強調したかったのかも知れませんが、警察が全力でかかっても柴咲やスズキタゴサクに敵わないって展開の方が良かったかな?とも思いました。
いかにもありそうな話で、リアリティがあったのですが。
上にも書きましたが、どうやらこの話はさらに続きがありそう。
勝手に完結編だと思って読んでいましたが、良い意味で裏切られました。
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