下界から隔離された全寮制の学園。この学園に3月以外に生徒が転入してくると、凶事を連れてくるという言い伝えがあった。
2月最後の日に理瀬が転入すると、学園内では生徒が死亡する事件、事故が立て続けに発生する。
恩田陸さんの『麦の海に沈む果実』を読みました。
あらすじ
3月以外に転入してくる生徒は凶事を連れてくるという伝説がある全寮制の学園に、理瀬は2月最後の日に転入してきた。
この学園では様々な学年の生徒10名前後からなるファミリーで助け合いながら生活を送っている。
しかし、理瀬が組み込まれたファミリーは、7名しかいない”残り物”の寄せ集めだった。
そのファミリーからは、この1年の間に2人の生徒が去って行っていたが、メンバーは彼らが殺害されたのではないかと疑っていた。
感想
恩田陸さんの作品って、読んだことあったっけ?
直木賞を取った『蜜蜂と遠雷』の人だったっけ?と思いながら、自分で作っている「読みたい本リスト」に長い間載っているような気がしたので、手に取ってみました。
でも、読書リストを見返すと、『蜜蜂と遠雷』の他に、『ユージニア』、『上と外』、『チョコレートコスモス』と、それなりに読んでいたんですね。
この作品も、『チョコレートコスモス』を読み終えて、次に何を読もうかな?って思って追加したような気がしてきました…
痴呆症がはじまるにはまだ若いと思っているのですが、こういうことがあると自信がなくなってしまいます。
最初に手に取った『蜜蜂と遠雷』を読んだときにも感じた、恩田陸さんの独特の癖を感じる文体。
読みにくいわけでもなく、特に読みやすいわけでもない個性を感じます。
途中まで、どういう話なのかあまりよくわからないまま進むのですが、中盤を過ぎたあたりから、いろいろなピースが繋がりはじめます。
特に最終盤の追い込みは激しさすら感じました。
少し残念だなぁと思ったのは、おそらく700人近くの生徒が学園生活を過ごしていると思われるのですが、その規模感があまり感じられなかったこと。
あと、下界から隔離されているという感じがあまりしなかったことでしょうか。
どちらも、話のスジには関係ないのですが、そのあたりを上手く使っていけばもっと良かったんじゃないかな?って思いました。
コメント