ルーヴル美術館の地下で、レオナルド・ダ・ヴィンチの『大洪水』に酷似した素描が発見された。
見つかった『大洪水』は、本物か?それとも偽物か?
コンサバター(修復士)のスギモトと晴香は、ついにレオナルド・ダ・ヴィンチが残した謎と対峙することに。
芸術大学を卒業した筆者が記す、コンサバターを描いたシリーズ第5弾。
一色さゆりさんの『ダ・ヴィンチの遺骨 コンサバターⅤ』を読みました。
あらすじ
ルーヴル美術館の地下で、レオナルド・ダ・ヴィンチの『大洪水』に酷似した素描が発見された。
封筒に入った状態で、床に置かれていたという。
作品の端の方に残されたインクのシミのようなものは、指紋のようにも見える。
見つかった『大洪水』は、本物か?それとも偽物か?
コンサバター(修復士)のスギモトと晴香は、ダ・ヴィンチが生まれたヴィンチ村などを訪ね、ダ・ヴィンチが残した秘密に挑む。
感想
「コンサバターシリーズ」も第5弾。
前作『ルーヴル美術館の天才修復士 コンサバターⅣ』で仕事の場をイギリスからフランスのルーヴル美術館に移した2人ですが、この作品では、ついにレオナルド・ダ・ヴィンチの謎に迫ることになります。
レオナルド・ダ・ヴィンチといえば、世紀の天才で、かつ謎の多い人物。
現代の科学の発展を考えれば、死後500年を過ぎた今でも、新しい発見があってもおかしくありません。
今回は、それに近年発生した悲劇的な事故を合わせてくるという、憎い演出。
この作品の内容が事実であれば、世界中のニュースのトップを飾ることになりますが、それくらい夢が詰まった話になっていると思います。
ただ1点残念なのが、シリーズが進むにつれ、単なる推理小説になってしまっていること。
一色さゆりさんだからこそ書ける、コンサバターの仕事を読みたかったなぁと思います。
それでも、水害で浸水被害を受けた図書館の書物の修繕をするシーンで、こういった作業がコンサバターの本来の仕事だと言ったところには、格好良いなぁと思ってしまいました。
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