田園調布警察署管内の駐在の息子で同学年の3人は、それぞれの道を通って警察官になった。
順調に出世し、円熟味を増した3人は、警察官として仕上げの仕事に取りかかる。
政界、反社会的組織、半グレ、芸能界、裏社会…
社会の諸悪と対峙した3人を待ち受ける運命とは――。
「プライドシリーズ」第3段!
濱嘉之さんの『プライド3 警官の本懐』を読みました。
あらすじ
高卒で警視庁に入庁した高杉隆一、私大卒の本城清四郎、東大卒でキャリアとして警察庁に入庁した大石和彦は、田園調布警察署管内の駐在の息子で同学年。
政界や反社会的組織による犯罪を追いかけながらも、順調に出世していった3人は、警察官として仕上げの時期に差し掛かる。
それぞれの立場から犯罪に対峙した幼馴染み3人のラストストーリー
感想
「プライドシリーズ」の第3弾です。
1ページ目から、2006年9月に発足した新内閣をこき下ろす場面からはじまります。
年月を言われてもどの内閣か思い出せないので調べてみると、第1次安倍内閣を指しているようです(フィクションですが)。
結果論なのかも知れませんが、燃えるであろうところが炎上した様子(フィクションですが)。
また、人間性は嫌いだけど、やっぱりあの人は政治家としては優秀なんだなと思う人も…(見せ方も政治家としての能力の1つだと思いますが…)
前作『プライド2 捜査手法』は、数年の間に起きたことがじっくりと書かれていましたが、本作は駆け足で3人のその後が描かれています。
あらすじには「東日本大震災が起こる」という記述があったのですが、特に立ち止まることなく次の話へ。
そういった非常時の警察の動きも知りたいなと思っていたのですが、ちょっと肩透かしを食らった気になりました。
その後も駆け足で年月が過ぎていき、ついには3人が警察官としての終焉を迎えるところまで…
『プライド2 捜査手法』を読んだときには思いもしませんでしたが、この作品が「プライドシリーズ」の最終作になるようです。
もう少しペースを緩めて、もう1作くらい書いてほしかったかな。
でも、終わり方は良かったと思います。じっくりと読ませていただきました。
高卒、大卒、キャリアとして、それぞれ異なる入り方で警察官になった3人。
部署や階級が異なる中で、それぞれの立場から事件に対峙するような話を読みたかったかな。
部署については、濱嘉之さんが得意な公安や組対にどうしても偏ってしまいます。
また、濱嘉之さんは有能な警察官が好きなので、どうしても昇進していってしまうんですよね。
入庁のタイミングや階級の違いを楽しむには、第1作の『プライド 警官の宿命』が1番かな。
「プライドシリーズ」がこの作品で終わるとすると、現在続いているシリーズは「警視庁公安部・片野坂彰シリーズ」のみ。
「片野坂」は文春文庫なので、講談社文庫でのシリーズものがなくなってしまうことになりますが、新たなシリーズが始まるのでしょうか?
濱嘉之さんは2004年に退職されているので、現在の警察事情にどれくらい通じているかでしょうか…
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