大統領の暗殺計画を思わせる不審な動きをシークレットサービスがキャッチ。大統領は計画を変更し、ホワイトハウスへ戻る。
厳戒態勢が敷かれる中、CIA報道官のレイチェル・スタンウィックが、マイクロ波を照射されて殺害された。
奇しくもその頃、レイチェルの姉で裁判官のアニーと、検屍官のケイ・スカーペッタとレイチェルの不倫相手で検事のフラグラーは、同じ裁判に出廷していた。
パトリシア・コーンウェルの『憤怒』を読みました。
あらすじ
ケイ・スカーペッタの姪・ルーシーが、大統領暗殺を予測される不審な動きを察知した。
大統領は計画を変更してホワイトハウスへ戻るが、CIA報道官のレイチェルが実家の外から照射されたマイクロ波によって殺害される。
その頃、レイチェルの姉・アニーが裁判長を務める裁判で、ヴァージニア州検屍局長のケイは、検事側の証人として、レイチェルの不倫相手で検事のフラグラーから証人尋問を受けていた。
裁判中の事件は前の検屍局長・カーターが扼死としたが、ケイは扼死ではないと判断したものだった。
感想
「検屍官シリーズ」の第26弾になるそうです。
このシリーズを私が読みはじめたのは、高校生の時。
電車待ちの間によく行っていた駅ビルの中の本屋で買って読んでいたのですが、本屋のオヤジに本ばかり読んでないで勉強もしろって、遠まわしに言われたのをよく覚えています。
途中、読んでいなかった時期もあったのですが、今はこうしてリアルタイムで読むところまで戻ってきました。
タイトルは、「憤怒」と書いて、「ふんぬ」と読むそうです。
「ふんど」で変換できていたので、表紙を開くまで「ふんど」だと思い込んでいました。
特に近年はまだ実用化されていないような超ハイテク機器が出てくることが多かったのですが、今回使用されたのはマイクロ波。
ちょっとローテク?とも思ったのですが、高出力バッテリなどが小型軽量化されたため、持ち運びが可能になったとも考えられますね。
マイクロ波は直進性が高いですし、出力を上げれば離れた場所から飛ばすことができますから、本当にこのような殺人が起きるようになるかも知れません。
物語は、ケイが検察側の証人として裁判に出廷している場面からはじまるのですが、アメリカの裁判って、こんなことになっているの?!と、驚きの連続。
検察官が証人に質問しておきながら、都合の良い証言だけを聞き出すと話を遮り、まるで舞台俳優のように自らの主張を展開する…
これが”質問”なのだろうかって。
まるでTVショーと感じたのですが、実際、裁判専用チャンネルなるものが存在して、生中継されているのだとか…
裁判員裁判なので、裁判官を説得するのではなく、裁判員に有罪を印象づけることが重要なのでしょうが、裁判というより、ビブリオバトルのように、検察と弁護側、どちらの言うことを信じようと思ったか?みたいな場になってしまっているように感じました。
パトリシア・コーンウェルの作風を考えると、誇大ではなく、これが現在のアメリカの裁判の様子なのでしょうが、どうなのかなぁと思ってしまいました。
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