歌舞伎役者の市川萩太郎は、先輩役者の中村竜胆の急逝に伴い、竜胆の息子・秋司の後見人となるが、同い年の実子・俊介よりも秋司の方が才能に勝ることを感じ取る。
萩太郎は2人の初舞台『重の井の子別れ』で、俊介ではなく秋司に台詞の多い三吉役をあてる。
しかし、初日の前日に秋司がおたふく風邪を罹患。萩太郎が秋司を外して俊介を調姫役にあてたことで、秋司の母との関係がこじれていく。
近藤史恵さんの『胡蝶殺し』を読みました。
あらすじ
歌舞伎役者の市川萩太郎は、先輩役者の中村竜胆の急逝に伴い、その息子・秋司の後見人になる。
萩太郎の息子・俊介の初舞台『重の井の子別れ』で、俊介と同い年の秋司との共演を実現させるが、俊介より才能を感じた秋司を、台詞の多い三吉役に、俊介に台詞の少ない調姫役をあてる。
しかし、初日の前日に秋司がおたふく風邪に罹患し、急遽俊介が三吉役を演じることになる。
感想
近藤史恵さんは本当に多才なお方。
『歌舞伎座の怪紳士』でも感じたのですが、歌舞伎にも深い造詣をお持ちなんですよね。
しかも、見る側だけでなく演じる側まで…
そのあたりの知識がさっぱりな私は、この作品を充分に楽しめておらず、もったいないことをしているんだろうなぁと思いながら読んでいたのですが、こればっかりは、これまでそういう人生を歩んできたのでしかたありません。
タイトルが『胡蝶殺し』となっているのですが、殺人事件が起きるわけではないんですね。
殺人事件が起きなくても、役者を社会的に抹殺することは可能とも思ったのですが、そういう話でもありませんでした。
最後まで読んで、その意味がわかるという、粋なタイトルになっています。
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