「モリさん、目覚めたんですね」
病室のベッドの上で目覚めた涌井和紗に、看護師が声をかけてくる。
忙しい看護師が名前を間違えたのだろうと思ってベッドの名札をみると、「森千鶴」と書かれていた。
違和感を感じて覗き込んだ鏡の中には、初めて見る顔が映っていた。
どうやら和紗は1年前に殺害され、同じ時期から昏睡状態に陥っていた千鶴の身体を借りてこの世に戻ってきたらしい。
横関大さんの『仮面の君に告ぐ』を読みました。
あらすじ
涌井和紗が目を覚ますと、病室のベッドの上に寝ていた。
様子を見に来た看護師が、和紗に向かって「モリさん」と声をかけていく。
看護師の間違いだろうと思ってふとベッドの名札を見ると、森千鶴と書かれていた。
1年前に殺害された和紗は、1年前から昏睡状態になっていた千鶴の身体を借りてこの世に帰ってきたらしい。
その頃、和紗の婚約者だった早田慎介は、証拠不十分で釈放された、和紗殺害の容疑者・矢田部への復讐の機会を狙っていた。
感想
母からおすすめされて読みました。
横関大さんを母に紹介したのは私なのですが、母は気に入った作家さんが見つかると、片っ端から読んでいくので、私の未読の本を逆に紹介してくれることがあります。
今回は、殺害された和紗が、歩道橋の階段から転落して昏睡状態になっていた千鶴の身体を借りてこの世に戻ってくるというお話。
乾くるみさんの『リピート』、辻村深月さんの『名前探しの放課後』と、最近同じような話を読んでいるような気がします。
和紗の腕時計の日付表示がカウントダウンされていき、定かなことは言えないものの、10日しか和紗は千鶴の身体に宿れないという設定で物語が進んでいきます。
このタイムリミットを設けたことが、終盤に向けて話がどんどん盛り上がっていくという、良い効果を生んでいたように感じました。
同様の話だと、東野圭吾さんの『秘密』などもありますが、また違ったアジが出ていて、面白かったです。
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