被害者をカエルに見立てて殺害するシリアルキラー”カエル男”がみたび現れた。
今回狙われたのは、いわゆる”人権派”と呼ばれる弁護士たち。
刑法第39条(「心神喪失者の行為は罰しない」、「心神耗弱者の行為は刑を減軽する」)を適用して無罪や減刑を勝ち取った弁護士たちが狙われる。
カエル男が次に狙うのは誰か? カエル男の目的とは?
中山七里さんの『連続殺人鬼カエル男 完結編』を読みました。
あらすじ
高速道路のサービスエリアで休憩を取っていたトラック運転手が車に戻り、走行を再開すると、何かを引きずっているような音が。
40kmほど走ったところで車を停めてトラックの下を覗くと、人間(だったもの)がぶら下がっていた。
さらに、車体の下から「きょう、かえるをつかまえたよ。―(中略)―じてんしゃにくくりつけてきょうそうしてみよう」と書かれた紙が見つかったことで、連続殺人鬼カエル男がみたび姿を現したと、現場は騒然となる。
被害者は人権派の弁護士・烏森彰人。次いで、同じく人権派の弁護士・木嶋鈴里が被害者になる…
感想
私が大好きな「連続殺人鬼カエル男シリーズ」と書くと、人格を疑われてしまいそうですが、大好きなシリーズです。本で読む分には。
私の中では、なぜか前の2冊でシリーズ完結と思い込んでしまっていたため、この「完結編」が出ると知ったときには、小躍りして喜びました。
『連続殺人鬼カエル男』、『連続殺人鬼カエル男 ふたたび』に次ぐシリーズ3作目ですが、出版社によると、『連続殺人鬼カエル男 ふたたび』と本作の間に『嗤う淑女二人』を挟んだ4部作とされています。
さらに、『嗤う淑女二人』の前には、「淑女シリーズ」の1作目、2作目として、『嗤う淑女』、『ふたたび嗤う淑女』がありますので、どうせなら『嗤う淑女二人』を読む前にこの2冊も読んでおいた方が楽しめるのではないかと思います。
また、今回の作品には、中山七里さんの他シリーズのキャラクターも出てきて、さながらオールスターゲームのようになっています。
まず、「ヒポクラテスの誓いシリーズ」の光崎教授や栂野真琴、「御子柴礼司シリーズ」からは弁護士の御子柴、「岬洋介シリーズ」からは、岬の司法修習生時代の友人・天生高春検事。
シリーズ1作目の『連続殺人鬼カエル男』では、百舌鳥のはやにえのように、死体をマンションから吊すとか、死体を潰すといった、元気な男の子がカエルで遊ぶときにするような行為でしたが(私はせいぜいカエルを捕まえてしばらく手の中で観察して放す程度…)、3冊目にもなるとなかなか思いつかないだろうと思うような行為にエスカレート。
さすがにネタが尽きてきたのかなぁと思いながら読んでいました。
前半こそ、これまでの「連続殺人鬼カエル男シリーズ」の流れでしたが、後半はちょっと違った雰囲気に。
何が起きてもおかしくない、どっちへ向かうかわからない展開になっていきます。
“カエル男”こと有働さゆりが最後に狙うのは誰か?
さゆりを見つけ次第、射殺することもいとわないという状況でなだれ込む5章のタイトルが「射殺す」。
誰が誰を?と、緊張が走ります。
今回殺害された3人は、すべて人権派の弁護士。
人権派ではないけれど、同じ弁護士の御子柴礼司という可能性も…
“カエル男”対”死体配達人”。見てみたい気もします。
大体は私の予想どおりだったのですが、それでもドキドキしました。
緊迫感が半端じゃなかったです。
やっぱり、いきなりこの作品を読むのではなく、4部作の完結編として読むのが1番楽しめると思います(できれば「淑女シリーズ」も)。
ぜひ4冊ないし6冊、読んでみてください。
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