新入社員・梶本大介が、早めに出社したときに見たのは、楽しそうにビルの清掃をしている女の子・キリコだった。
キリコは掃除の天才で、毎日1人で会社中をピカピカにするだけでなく、探偵としての才能も持ち合わせていた。
大介の身の回りで起きた事件をキリコが解決していくにつれ、2人の距離は近づいていくが…
近藤史恵さんの『天使はモップを持って』を読みました。
あらすじ
『オペレータールームの怪』
新入社員の梶本大介は、入社して半年くらい経った頃、ビルの清掃をしている17、8歳の女の子・キリコと出会う。
彼女は掃除の天才で、毎日1人で会社中をピカピカにしているという。
ある日、大介の机の上に置かれたはずの書類が紛失するという事件が発生する。
しかも、1度ならず2度も!
この謎を解いてくれたのが、他ならぬキリコだった。
感想
「清掃作業員探偵キリコシリーズ」の1作目です。
文庫にして40ページくらいの短編が8編と、リズムよく進んでいきます。
新入社員の梶本大介と、会社の清掃を一手に引き受ける女性・キリコの出会いから、キリコが会社を去るまでが描かれており、近藤史恵さんは当初シリーズ化は考えておられなかったのかな?と思いながら読んでいました。
ビルの清掃員というと、「掃除のおばちゃん」を思い浮かべてしまいますが、キリコはうら若き女性。
でも、掃除が好きでたまらないようです。
そしてキリコにはもう1つの才能が…
それが、日常の謎を解く探偵としての才能。
妙に複雑ではなく、テンポ良く謎を解き明かしていくので、読んでいても気持ちが良いです。
今のところ、第5弾まで出ているようなので、続巻も手に取ってみたいと思います。
『オペレータールームの怪』のほか、『ピクルスが見ていた』、『心のしまい場所』、『ダイエット狂想曲』、『ロッカールームのひよこ』、『桃色のパンダ』、『シンデレラ』、『史上最悪のヒーロー』が収められています。
『ピクルスが見ていた』
夜間、大介がキリコの掃除の手伝いをしている時間に、ビルの非常階段から女子社員が転落した。
その様子を見ていたのは、キリコのカエルのぬいぐるみ・ピクルスだけだった。
『心のしまい場所』
大介と同期入社の天満頼子の結婚式が執り行われた。
しかし、引き出物がキャンセルされていたという。
そこで、引き出物を手配したのが、マルチ商法で問題となっている〈ホットライフ〉の会員・中川さんだった。
『ダイエット狂想曲』
健康診断を受けた女性社員たちが体重増加にショックを受け、ダイエットに取り組むことに。
女性社員に囲まれた大介も、当然のように巻き込まれてしまう。
『ロッカールームのひよこ』
女子社員用のロッカールームに泥棒が入った。
しかも、ビルの清掃中、ひよこが4羽見つかる。
『桃色のパンダ』
ネットワーク事業部の吉田部長が、娘の誕生日のプレゼントとして用意したパンダのぬいぐるみを机の上に飾っていたところ、刃物でバラバラにされてしまうという事件が発生する。
『シンデレラ』
トイレの床が、水浸しにされるという事件が2日続けて発生する。
しかも、翌日はそれが墨汁に変わり、さらに翌日には壁までもが墨汁で汚されてしまう。
キリコは、自分に対する嫌がらせではないかと意気消沈するが。
『史上最悪のヒーロー』
キリコが会社からいなくなった。
さらに大介は、祖母の介護を一手に引き受けていた母が亡くなったため、母の介護をしてくれる女性と結婚する。
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